執筆：伞，Deep Tide TechFlow
かつて世界中で大流行したポケモンカードが、今やブロックチェーン上で再び熱狂を巻き起こしています。
昨日、RWAコンセプトを組み合わせたオンチェーンのトレーディングカード取引プラットフォームCollector CryptのトークンCARDSの価格が急騰し、多くの投資家が暗号カードという分野に注目しました。
実際、暗号カードは最近生まれたストーリーではありません。オンチェーンデータによると、SolanaチェーンだけでもTCG（トレーディングカードゲーム）の総取引量はすでに9500万ドルを超えています。
暗号とカードがぶつかり合うと、どのような化学反応が生まれるのでしょうか？
Crypto+TCG（トレーディングカードゲーム）分野を深く探り、注目すべきプロジェクトや資産を見ていきましょう。
Collector Crypt：SolanaエコシステムのTCG王者
Collector Cryptは2021年に設立され、Solanaエコシステムで最初のTCG RWAプラットフォームとして、揺るぎない業界リーダーの地位を確立しています。本プロジェクトの月間収入は120万ドルを超え、年間収入は約4000万ドルに達し、暗号カード分野全体で95%以上の市場シェアを占めています。
Collector CryptのコアイノベーションはGacha（ガチャ）メカニズム、すなわち現実世界のブラインドボックス抽選です。ユーザーは約50USDTを支払うことで、ランダムなポケモンNFTカードを1枚獲得できます。各NFTは実際の実体カードに対応しており、価値は30～5000ドルの範囲です。この仕組みは、カードを引くスリルとコレクションの満足感を巧みに融合させています。
現時点で、3000以上の独立ウォレットがCollector Cryptで累計4960万ドル以上をGacha抽選に消費しており、ユーザー1人あたりの平均消費額は16500ドルに達しています。他のプラットフォームを大きく上回るこのデータは、ユーザーがこのモデルを高く評価し、強い消費意欲を持っていることを示しています。その中でも、マントを着たピカチュウカード2枚は、それぞれ15099ドルと16750ドルという高値で取引されました。
2025年8月29日、Collector Cryptは正式にCARDSトークンを発行し、初のトークンを持つポケモン取引プラットフォームとなりました。Coingeckoのデータによると、トークン価格は過去2日間でそれぞれ260%と212%の上昇を記録し、現在の時価総額は8425万ドル、1日の取引高は2日連続で倍増し1.18億ドルに達しています。
CARDSトークンのユニークな点は、プラットフォーム内に数百万ドル相当のポケモンカード在庫が担保として存在し、投資家に有形資産の裏付けを提供していることです。
Gachaメカニズム以外にも、Collector Cryptは業界最先端のeBayスナイプツールを提供し、ユーザーが最低価格で欲しいカードを購入できるようサポートしています。このような包括的なサービスエコシステムにより、同プラットフォームは最大の暗号カード取引所であるだけでなく、カード愛好家の総合サービスセンターとなっています。
Courtyard：クロスチェーンTCG金融の探求
Courtyardも2021年にローンチされたトレーディングカード取引プラットフォームで、今年4月には世界のNFT市場取引高記録を一時的に更新し、1週間の取引量が2070万ドルに達し、ETHネットワークのNFT総取引量すら上回りました。
Courtyardのコア競争力は、Web2ネイティブのユーザー体験設計にあります。プラットフォームはクレジットカードなどでのチャージや保管料ゼロ、シンプルで分かりやすい取引インターフェースをサポートし、従来のコレクターが暗号分野に参入するハードルを大きく下げています。現在もプラットフォームの1日取引高は100万ドル以上を維持しています。
他の暗号カードプラットフォームと異なり、Courtyardはカードコレクターが非常に重視するカードグレーディングのニーズに特化しています。プラットフォーム上のすべてのNFT化カードには完全なPAS認証記録と保険保障があり、この専門的なサービスモデルが多くの高価値カード保有者を惹きつけています。
Phygitals：最も成長が早い新興勢力
Phygitalsは2024年12月に正式ローンチされた新プロジェクトですが、その成長速度は目を見張るものがあります。今年7月末から同プラットフォームの週収入が急増し、現在までに66.5万ドル以上のガチャ収入を生み出しています。わずか数ヶ月で6200の独立ウォレットユーザーを獲得し、そのうち63%が2025年の新規ユーザーです。
他のプラットフォームのGachaガチャモデルと比べ、Phygitalsは今年5月末に「LuckyDrwa」という新しい抽選モデルを導入しました。ユーザーは非常に低価格で高額カードの「抽選券」を購入でき、抽選券の販売終了後に当選者が高額カードを獲得します。また、高額カード保有者は自分のカードの抽選券を発行し、他のユーザーがLuckyDrwa抽選に参加できます。この過程の抽選ロジック、抽選券発行数、終了時間はすべてSolanaスマートコントラクトに記録され、公開性と透明性が確保されています。
この革新的なモデルにより、ユーザーはより頻繁かつ少額で抽選に参加し即時の満足感を得られると同時に、参加ハードルも下がり、Phygitalsプラットフォームの1日取引量は当時3倍に急増しました。
またPhygitalsはソーシャル要素の構築にも特に力を入れており、ユーザーはカードをコレクションすることで実績をアンロックしたり、ランキング競争に参加したりできます。さらに、NFTを保有することで即座に実体カードと交換することも可能です。このゲーミフィケーションされたソーシャルメカニズム設計により、コレクションはもはやコレクターの孤独な個人行為ではなく、すべてのコレクターの間にコミュニケーションの架け橋を築き、優れたコミュニティ体験をもたらしています。
TCG Emporium：新興勢力の突破口
TCG Emporiumは2025年5月6日に正式ローンチされ、参入は遅かったものの、そのパフォーマンスは印象的です。初期のわずか90日間で、プラットフォームの取引量は3600万ドルに達し、Solana TCGエコシステム全体の38%の市場シェアを占めました。
この分野の先行者と比べて、TCG Emporiumはより低いプラットフォーム手数料戦略を採用し、薄利多売で市場シェアを急速に獲得しています。また、独自の「buy-the-dip」買い戻しメカニズムを導入し、高価値カードが二次市場で長期間売れ残った場合、プラットフォームがオラクル価格の60%で積極的に買い取ることで、二次市場の価格差を効果的に縮小し、市場流動性を高めています。
マーケティング面では、TCG Emporiumはユーザーがガチャで引き当てた高額カードを表示し、バイラル効果を生み出しています。その中には、最高取引価格1.13万ドルのマリオピカチュウカードも含まれています。この戦略はプラットフォームのブランド拡大にも効果的です。
TCG分野のその他プロジェクト
上記のTCG取引プラットフォーム以外にも、TCGとブロックチェーンの融合から他にも様々なプロジェクトが生まれています。
Project O
Project Oは2024年に設立され、モバイル向けのトレーディングカード対戦ゲームであり、限定実体カードもリリースしています。1ゲームの所要時間は7～9分で、プレイヤーは13枚のカードを使い、ゲーム内の3ラインバトルで対戦します。
SolForge Fusion
SolForge Fusionは、世界的に有名なカードゲーム「Magic: The Gathering」の創設者Richard Garfieldが設計に参加し、革新的な「ハイブリッドデッキ構築」モデルを採用しています。各実体初期カードセットには対応するNFTバージョンがあり、プレイヤーは実体カードをスキャンしてNFT化し、4万種類以上のユニークなカード組み合わせを実現できます。
これらのプロジェクトから、現在の暗号カード市場が急成長していることが分かります。その成長の根源は、技術革新の融合だけでなく、無数のコレクターが自らの情熱を暗号と結びつけていることの表れでもあります。
従来のTCG取引市場は、流動性の分散、真贋判別の困難、取引プラットフォーム手数料の高さなどの問題に直面していますが、この市場がブロックチェーン上に移行することで、これらの課題が解決されるだけでなく、スマートコントラクト、NFT、DeFiメカニズムなどの手段によって、数千億ドル規模の市場に前例のない活力を注入できます。
「最良のWeb3アプリケーションは、しばしば全く新しいコンセプトではなく、既存の行動パターンのアップグレードや金融化である」と言われています。トレーディングカードコレクション業界にとって、暗号は業界の課題を解決する有効なソリューションとなるかもしれません。この世界的なトレンドが暗号市場に波及する中、私たち投資家もこの分野の今後の発展に注目すべきでしょう。
