4億以上のアクティブアカウントを持つ世界的な決済大手ペイパルは、暗号資産をP2P（ピアツーピア）決済に追加し、ユーザーがデジタル資産を直接送受信できるようにする。これは、投資や取引を超えて主流への普及を加速させる可能性のある一歩である。
月曜日、同社は「ペイパル・リンク」を 発表した 。これはペイパルアプリ内で生成されるパーソナライズされた1回限りのリンクで、テキスト、メール、チャットで共有できる。この機能はまず米国で開始され、年内に英国、イタリア、その他の海外市場に拡大される予定である。
近い将来、ユーザーはペイパルのP2P機能を通じて、ペイパルやベンモのユーザー、および互換性のあるデジタル資産に暗号資産やステーブルコインを直接送金できるようになる。発表によると、対応する暗号資産にはビットコイン（BTC）、イーサ（ETH）、PYUSDなどが含まれる。
ペイパルは、友人や家族間の支払いは一般的に免除されるため、ベンモまたはペイパルを通じて行われる個人間の送金は、1099−Kフォームによる税務報告の対象にはならないと強調した。
「ペイパル・リンク」と暗号資産のP2P機能は共に、国境を越えてウォレットや決済システムを接続するために設計された同社の新しい相互運用性のフレームワーク「ペイパル・ワールド」の下で導入される。
同社はデジタル資産分野での存在感を着実に拡大してきた。今年初めには、米国の企業が100種類以上の暗号資産での支払いを受け入れることができる、ブロックチェーンベースの決済サービス「Pay with Crypto」（暗号資産で支払う）を展開した。4月には、ベンモとペイパルの暗号資産提供を拡大し、チェーンリンク（LINK）とソラナ（SOL）を追加した。
暗号資産の中核的な可能性に実用性を与える
P2P決済は、サトシ・ナカモトの最初のビットコイン白書で強調されたテーマであり、長らく暗号資産の最も説得力のあるユースケースの一つと見なされてきた。
最も純粋な形では、P2Pは仲介者やカストディアン（管理者）を介さない、ブロックチェーン上の直接的なウォレット間の送金を指す。ペイパルは中央集権的な決済処理業者であり続けるが、その新しいP2Pプラットフォームはユーザーが外部ウォレットに暗号資産を送ることを可能にする。これは、P2P取引の本来の精神により近い機能である。
この方向に動いている中央集権的な企業はペイパルだけではない。6月には、暗号資産取引所のクラーケンが、ユーザーが国境を越えてデジタル資産を送受信できる決済アプリ「Krak」（クラック）を導入した。
一方、ステーブルコインの台頭は、送金やP2P決済を着実に再形成している。世界銀行は、ステーブルコインベースの送金網が取引コストを最大$92%$削減できる可能性があると指摘している
それでも、誰もが納得しているわけではない。国際決済銀行は、ステーブルコインは主要な通貨の原則を満たしておらず、真の通貨というよりは金融資産のように振る舞うと主張し、警告している。
