CMEがXRPとSOLを追加しデリバティブ市場を拡張

規制承認を前提に主要アルトへ拡大するデリバティブ戦略

世界最大のデリバティブ取引所 CMEグループ は、 SOL （Solana:ソラナ）と XRP （Ripple:リップル）を対象とする先物オプションを導入する。

開始日は規制当局の承認を条件に10月13日を予定。ビットコイン（Bitcoin/BTC）とイーサリアム（Ethereum/ETH）に加えて主要なアルトコインへ裾野を広げ、機関投資家とアクティブな個人投資家に新たなヘッジと取引の選択肢を提供する。

新たに上場されるXRPとSOLのオプション

XRPとSOLの先物オプションは、CMEの既存の先物契約に連動し、標準サイズとマイクロサイズの二本立てで提供される。

満期は営業日ごと、月ごと、四半期ごとに設定可能で、CMEの電子取引プラットフォームCME Globexで取引される。MicroSol、XRP、MicroXRP先物を基盤に、小口から機関まで使いやすい設計だ。CMEグループの仮想通貨商品担当グローバルヘッド、ジョバンニ・ヴィチオソ（Giovanni Vicioso）氏は、SolanaとXRPの先物市場で「大幅な成長と流動性の向上」が見られたことを背景に挙げ、機関から洗練された個人まで幅広い層の活用に期待を示した。CMEはさらに、当日の決済価格で発注できる決済時取引（TAS）メカニズムの導入も計画し、価格決定の予見性を高める方針だ。

CMEは2017年にビットコイン先物、2021年にイーサリアム先物を上場しており、今回のオプション拡大はその延長線上にある。Solana先物は開始以来54万件超（約3.3兆円相当）、XRP先物は37万件（約2.4兆円相当）の取引が成立し、いずれも8月に取引量と建玉が過去最高を記録した。なお、マーケットメーカーのカンバーランドやFalconXも新商品を支援し、流動性と執行の安定に貢献する。

市場への影響と規制環境の整理

今回の上場は、ビットコイン以外のオプション商品をCMEが本格展開する初のケースとなる。

SOLとXRPという時価総額上位のアルトが規制市場のオプションに加わることで、投資家はポジション管理とリスクヘッジをより柔軟に行えるようになる。オプションは先物と異なり、あらかじめ定めた価格で売買する権利を付与するため、上下動の大きい仮想通貨市場で戦略設計の幅を広げる。

規制面では、XRPを巡る米国での訴訟が2025年8月に正式終結し、機関向け販売を証券法違反、取引所でのプログラム的販売は違反に当たらないとする判断と、リップル社の罰金支払いで決。不確実性が後退したことで、XRP関連の商品設計は進めやすくなる。米国市場では規制の明確化を背景にデリバティブ需要が拡大しており、CMEの動きはその流れを象徴する。

一方で、開始日はあくまで監督当局の承認が前提であり、承認プロセスと上場後の流動性定着がカギとなる。足元ではSOLとXRPの先物が高い出来高を示しており、オプションの追加は建玉の質と厚みを補完する見込みだ。CMEの提供網にカンバーランドやFalconXが関与することで、機関のヘッジ需要とアクティブトレーダーの戦略構築を後押しするだろう。