出典：Chi_Labs
司会者 Blake：本日は0G Labsの共同創設者兼CEOであるMichael氏をお招きしています。私はChi Labsの司会者Blakeです。
Michael：0G Labsでは、AIを公共財にすることが私たちの使命です。つまり、誰もが貢献できるインフラを提供し、特に透明性・安全性・検証可能性を実現する必要があります。これはブラックボックス型AIとは全く異なる体系を意味します。私たちは、無限にスケーラブルなLayer1（実行層）、AIワークロード向けのストレージネットワーク、推論と微調整のための計算ネットワーク（TEEベースの検証可能性）、サービスマーケットプレイス、そしてドリフトや悪質な行動を監視するAIアライメントノードを備えた、モジュラー型の多層システムを構築しました。これらを組み合わせて、分散型AIオペレーティングシステムを実現しています。
なぜ2023年に0Gを設立したのか？
司会者 Blake：なぜ2023年に0Gを立ち上げることを決めたのですか？そのきっかけは何でしたか？
Michael：当時、OpenAIのChatGPTが急成長しているのを目の当たりにし、AIにとって画期的な瞬間だと感じました。ついに人と会話するように機械とやり取りでき、自然言語で返答が得られ、しかもその回答の有効性がほぼ人間に近いという、まさに象徴的なブレイクスルーでした。
しかし、その後、5年後や10年後に何が起こるのかを考え始めました。もし、より大規模なユースケース、特に社会的なユースケースが本当にAIによって駆動されるようになったらどうなるのか？例えば、AIによって運営される空港などです。こうした未来には大きな不安を感じました。なぜなら、ブラックボックス型AIシステムでは、データの出所や誰がデータをラベル付けしたのか、モデル内部で何が起きているのか、どのバージョンのモデルを使っているのか、意思決定の審査がどのように行われているのかを知ることが非常に困難だからです。
0GはAIとWeb3業界のどんな課題を解決したいのか？
司会者 Blake：0GはAIとWeb3業界のどのような課題を解決したいと考えていますか？
Michael：AIを本当に所有し、オンチェーンで「無限規模」のAIを構築するためには、いくつかの重要なインフラのブレイクスルーが必要です。
まずパフォーマンス面です。最もヘビーなデータスループットのユースケースを支えられるほど強力なLayer1をどう作るか。多くの場合、AIデータセンターのスループットは1秒あたり数百GB、時にはTBレベルに達します。したがって、非常に高性能なシステムアーキテクチャを設計しなければなりません。
次にリサーチ面です。AIアライメントを正しく行う方法や、分散型の文脈でAGIをどのように理解し構築するかを明らかにする必要があります。AGIは単一の巨大モデルから生まれるのか、それとも多くの小さなモデルの組み合わせから生まれるのか？私たちは後者を支持していますが、そのためには多大な研究が必要です。
5年後に0Gをどのように定義されたいですか？
司会者 Blake：5年後、0Gがどのように定義されていてほしいですか？
Michael：私たちの究極の目標は、Web2のAIビルダーをWeb3に引き込むことです。
5年後の0Gを想像すると、すべてのミッションクリティカルなAIアプリケーションの中核的なハブになっていてほしいと思います。例えば、製造施設、多ロボットシステム、空港、物流システムなど、社会レベルのシナリオで、0Gがブロックチェーンベースの安全性とアライメントメカニズムを提供し、これらのシステムの運用を保証する。そのようなレイヤーで、0Gが常に最前線に立ち、中心的な役割を果たしていてほしいです。
もちろん、個別のユースケースでは、依然として中央集権型AIやエッジデバイスAIを使ってニーズを満たすこともできます。しかし、社会レベルやミッションクリティカルなアプリケーションに関しては、0Gが最前線に立つ必要があり、しかもすべてをコミュニティ中心の方法で推進し、最終的にはAIを公共財にすることを目指します。
分散型AIオペレーティングシステムのコアアーキテクチャは？
Michael：冒頭でも少し触れましたが、0Gのコアはレイヤード構造であり、それぞれのレイヤーが大規模AIアプリケーションの構築に必要な異なるタスクを担います。
通常、以下のような部分で構成されます：
●コンピューティング/DePIN層：この部分は自社所有ではなく、AethirやAkashなどのパートナーが提供するコンピューティングリソースと連携します。
● ソフトウェア層：
○ Layer1（実行層）：無限にスケーラブル。
○ ストレージ層。
○ データ可用性層。
○ 計算層：推論と微調整をサポートし、TEE（Trusted Execution Environment）で検証可能性を保証。
○ サービスマーケット層：App Storeのように、さまざまなサービスやパブリックデータセットを挿入でき、完全にオープン。
○ AIアライメントノード：「警察部隊」のような役割で、モデルのドリフトや悪質な行動をスキャンし、ステーキングのペナルティでシステムの健全性を維持。
これらのコンポーネントはそれぞれ非常に深い設計空間を持っています。例えばLayer1自体はモジュラーアーキテクチャであり、モジュラー実行層、モジュラーコンセンサス層、モジュラーDA層で構成されます。各レイヤーは極限まで最適化され、無限にスケール可能で、従来のブロックチェーンシステムの制約を受けません。例えば、あるL2は500TPSしか出せないかもしれませんが、私たちはシャーディングを採用し、アプリケーションのニーズに応じて任意の数のシャードを展開できるため、任意の規模のTPSを実現できます。この設計哲学はシステムのあらゆる部分に貫かれています。
従来のL1と比べて0Gのパフォーマンス優位性は？
Michael：私たちのコア哲学は並列化です。ストレージ、データスループット、TPSのいずれも並列化によって無限に拡張でき、DA層で数十〜数百GB/sのスループットや、数十万TPSを実現できます。
0Gはどのように開発者エコシステムを惹きつけるのか？
Michael：私たちの設計哲学の一つは、Web2からオンチェーンへの移行のハードルをできるだけ下げることです。
モジュラー設計により、各インフラ部品が密接に連携でき、0Gの各部分を使えばシームレスな協調が可能です。これによりワンストップ体験を提供し、開発者は50箇所も別々にソリューションを組み立てる必要がありません。また、エコシステム自体も魅力の一部です。Web3×AI最大のエコシステムに参加することで競争優位性を得られ、エコシステム内で他者とインタラクションできます。同時に、インセンティブ、メンター、アクセラレーター、投資など多くのサポートも提供します。
司会者 Blake：開発者にはメンターのサポートがあるのですか？
Michael：はい、私たちが提供するのはメンターサポートだけでなく、投資やエコシステム全体からの支援も含まれます。
Killer Appの初期兆候はあるか？
Michael：最初はWeb3が依然として金融志向であるため、初期のキラーアプリは金融と結びつく可能性が高いです。例えば：
● AI収益検索エージェント
● AIループレバレッジエージェント
● その他、金融操作をサポートするエージェント
時間が経つにつれ、コミュニティがトレーニングや利用に参加するモデルや、ユーザーがコンピューティング/データを提供しトークンで報酬を得る仕組みなど、インフラが整えばこれもキラーアプリの方向性となるでしょう。
一般ユーザーは0Gエコシステムでどんな体験ができるか？
Michael：先ほども触れましたが、メンターサポート、マーケティング、投資などがあります。私たちの目標は、大規模なエコシステムを迅速に構築し、最も優秀なビルダーを引き寄せて彼らのモデル、データ、コンピューティングを展開してもらうことです。そのためにチームの各部門が多大なリソースを投入しています。私たちは常に自分たちを競争優位性の提供者と位置付け、0Gに参加する誰もがその恩恵を受けられるようにしています。
JT：他のパブリックチェーンと同様の機能だけでなく、Michaelが言及したように投資面でも、0Gの全体的な強みはオンチェーン機能に加え、コンピューティング、ストレージ、全チェーンAIへのサポートも提供している点です。ユーザーやプロジェクト側としても、0Gプラットフォーム上でさまざまな利用シーンを得られたり、完全分散型AIアプリケーションを自分で展開することも可能です。これは他の多くのチェーンでは実現できないことです。
エアドロップ規模と長期ユーザー維持のバランスは？
Michael：これは非常に難しい問題です。一方で、コミュニティメンバーの貢献、例えばテストネットへの参加やプロモーションのサポートを認める必要がありますが、他方で、短期的なインセンティブのためだけにタスクをこなして、メインネットローンチ時に離脱されるのは避けたいです。
私たちの解決策は、一部のエアドロップをベスティング（権利確定）に設定することです。例えばYapperの配分や一部NFT報酬など。この仕組みにより、より長期間エコシステムに留まってもらえます。
私たちは常に長期的思考を貫いています。なぜなら、私たちの使命はAIを公共財にすることだからです。これは1〜2年で終わる話ではなく、コミュニティが継続的に努力し、深く関与する必要がある長期的な事業です。
JT：エアドロップのチェックと登録ツールをリリースし、Yapperなどのコンテンツクリエイターに一度インセンティブを与え、Infofyプラットフォームを通じて継続的な報酬も提供しますが、継続的な貢献が必要です。
0GはMovementやRedStoneのようなFUDをどう回避するか？
Michael：ある程度FUDを完全に避けるのは難しいです。なぜなら、誰もが最大限のエアドロップを望み、どんなに配っても十分だと感じない人がいるからです。これは認識と現実の違いです。
私たちも多くの重要な教訓を得ました。メインネットローンチとエアドロップ/上場を分けるとコミュニティにとって不利で、不要なFUDを生みやすい。真のユーザー/長期ユーザーとシビル攻撃を区別する必要があり、これは難しいですが、識別とフィルタリングに継続的に投資しています。これらの教訓を現在の意思決定に反映し、エアドロップを異なる部分に分割しました。ソーシャルタスク/コミュニティ報酬、テストネット参加など、異なる人々の参加思考に合わせて、異なる報酬軸を長期間設計し、より多くの長期参加者を獲得します。
テストネット参加者には、メインネットでもデプロイしてほしいと考えています。メインネットの指標はリアルであり、メインネット参加でコミュニティ報酬の資格が得られます。とにかく長期的な視点で設計しています。ただし、真のユーザーとシビルの選別は難しいですが、継続的に改善に投資し、エアドロップは異なる部分に分け、異なる報酬軸を設計します。
JT：私たちは異なる人々を細分化します。テストネットランナー、コミュニティアクティブユーザー、ソーシャルメディアタスク参加者、Yapper、初期OG、NFTホルダー。皆さんは異なる軸から報酬を得られますが、全体の理念は長期貢献者を報いることです。
チームは初期サポーターの公平性と積極性をどう保証するか？
Michael：エアドロップなどのコミュニティ報酬に加え、より大きな利益はエコシステムとの長期的なインタラクションから得られるべきです。ビルダーには追跡型コミュニティ報酬、投資、メンターなどを、一般ユーザーには継続的なサポートとミッションへの共感を通じて、トークンの価値が時間とともに蓄積されます。
JT：Discordでは初期OGに高い重み付けをし、One Group Grivity NFT（無料/0.1ETHでミント、最高1.8–1.9ETHまで上昇）も配布しました。TGE前後には集中インセンティブがあり、長期インセンティブはエコシステムプロジェクトにシフトします。ウォレット+Twitter+Discordの連携で、複数の参加者が複数の報酬を得られます。
コミュニティはインセンティブ設計でどんな役割を果たせるか？
Michael：私たちはコミュニティのフィードバックをガバナンスメカニズムの一部としてオープンに受け入れています。コミュニティは新しいインセンティブメカニズムや報酬方法を提案でき、Security Council（セキュリティ委員会）を設置して提案を採用します。インセンティブメカニズムもその一つです。0g Foundationは、コミュニティから初版トークノミクスへのフィードバックを受けて迅速に調整したこともあり、その際は深夜4〜5時まで会議をして修正を完了させました。
JT：コミュニティがインセンティブ設計を行う際、実は非常に大きな役割を果たせます。Michaelも述べたように、コミュニティユーザーは0Gにやってほしいことを提案し、意見を出すことができ、チームはそれに基づいて調整や変更を行います。例えば、以前トークノミクスの初版を発表した際、コミュニティから多くのフィードバックや提案があり、チームも迅速にそれに基づいて修正を行い、最終的なフィードバックも非常に良好でした。これは重要な例の一つです。当時は夜通し会議をして、午前4〜5時までかかってコミュニティの声に迅速に応えました。
今後12〜24ヶ月の重点目標
Michael：
主に2つの側面があります：
●最大のWeb3×AIエコシステムを構築：ロボットなどのトレンドを中心に、主要インフラ、新しいバーティカル、重要サービスを整備し、トップAI dAppやトップエージェントを0Gに誘致します。
●インフラを中央集権型ブラックボックスAIに対抗/追いつく：検証可能なメカニズムを強化し、任意規模のモデル学習をサポート、さらにL1性能を向上させ、Web2のあらゆるものを完全にオンチェーン化します。
JT：目標は0Gを全チェーンで進化可能なAIエコシステムにし、2年程度で一流のWeb2インフラ水準に到達しつつ、透明性と分散性を維持することです。
業界トレンドの見通し（AIインフラ、RWA+AI、ステーブルコインなど）
Michael：
● ステーブルコイン：大手機関はすでにステーブルコインレールで銀行レールを置き換えることを議論しており、今後はAIエージェントと融合していくでしょう。
● RWA+AI：例えば、トークン化ヘッジファンド＋担保でステーブルコイン借入＋ループ戦略など。AIエージェントが金利やリスクを監視し、自動リバランスを行います。
● ロボット：家庭用・工場用ロボットが普及しますが、安全性とアライメントが鍵です。そうでなければハッキングされた場合の影響が深刻です。
JT：現在、ますます多くの人がステーブルコインを利用し、多くの機関も銀行送金の代わりにステーブルコインを使うと表明しています。同時に、RWA＋AIも非常に有望なトピックです。例えば、誰かがトークンをステーキングし、ステーブルコインを借りる場合、AIが清算ラインに近づく前にリスクバランスやポジション管理を支援できます。先ほどの補足も非常に充実していましたので、私からは少しだけ補足します。Michaelが前述したJackson Hole会議は、先月アメリカのデンバー近郊で開催された非常に重要な会議で、多くの米国機関や当局者が、伝統的な銀行業と暗号業界をどのように融合させるか、政策面や今後の発展方向について議論しました。Michaelも0Gの代表としてこの会議に参加しました。
