Filecoin、Filecoin Pinを発表——IPFSオンチェーンPinのための新しい開発者ツール
Filecoin Pinを利用することで、開発者は馴染みのあるIPFSツールやワークフロー(コマンドラインからGitHub Actionsまで)を通じて、あらゆるファイルや既存のIPFSデータを、グローバルに分散したストレージプロバイダーで構成される分散型ネットワークであるFilecoin上に永続的に保存できるようになりました。
Filecoinが登場した当初から、その目標は壮大でした。それは、IPFSのインセンティブ付き永続化レイヤー(incentivized persistence layer)となることです。IPFSは、私たちのコンテンツのアドレス指定方法を変革し、脆弱なロケーションベースのURLから、決して失効しない検証可能なコンテンツ識別子(verifiable content identifiers)へと進化させました。しかし、経済的インセンティブや暗号学的な保証がなければ、IPFS上のコンテンツがどれだけ長く保存されるかは、どこかの誰かが善意や個人的な興味でホスティングを続けるかどうかに完全に依存してしまいます。
Filecoinの設計思想はまさにこの問いに答えるためのものでした。「誰がIPFS上のデータの保存を担うのか?」という問いです。そのミッションは非常に明確で、IPFSを「ベストエフォートのPin」(best-effort pinning)や中央集権的サービスプロバイダーへの依存から、経済的インセンティブとオンチェーン決済によって支えられ、暗号学的証明による監査が可能な、真に永続的で検証可能なストレージへと変革することです。
IPFSとFilecoinの融合
Filecoinのミッションは常に、人類の情報のために分散型で効率的かつ堅牢な基盤を作ることでした。そして、そのすべてはIPFSから始まりました。
しかし、これまでこの2つのシステムをつなぐことは決して容易ではありませんでした。
これまで、IPFSのコンテンツアドレッシングとFilecoinの検証可能なストレージ証明やインセンティブメカニズムを組み合わせたいと考える開発者は、迷路のように複雑な専用ストレージオンボーディングフロー(storage onboarding flows)、サードパーティサービス、あるいは複雑な回避策に直面してきました。発見、ルーティング、配信機能の大規模かつシームレスな統合を実現することは、常に遠い夢でした。
しかし、今やこの状況は変わりました。
Filecoin Pinを利用することで、開発者はコマンドラインからGitHub Actionsに至るまで、慣れ親しんだIPFSツールやワークフローを通じて、あらゆるファイルや既存のIPFSデータを、世界中に分散したストレージプロバイダーによる分散型ネットワークFilecoin上に永続的に保存できるようになりました。今や、IPFSのPin操作にはFilecoinの検証可能なストレージ保証が付随し、暗号ウォレットによる支払いでIPFSファイルを永続化できます——これらすべてが、サードパーティサービスや複雑な回避策、KYC(顧客確認)のためのクレジットカードへの依存なしに実現されます。分散型ストレージ技術スタックはついに真の統合を果たしました!
Filecoin Pinの仕組み
Filecoin Pinを利用すると、あなたのIPFSファイルはFilecoinネットワーク上に永続的に保存されます。ストレージプロバイダーは、毎日継続的にあなたのデータを保存・提供していることを暗号学的に証明しなければなりません。そして、顧客はこれらのストレージ証明が正常に提出され、オンチェーンで検証された後にのみ料金を支払う必要があります。ストレージ期間中、あなたのデータはFilecoinストレージプロバイダーから直接取得可能です。
しかし、検証可能な永続化はソリューションの一部に過ぎません。完全なストレージソリューションには、迅速かつ信頼性の高いデータアクセスも不可欠です。Filecoin Pinはこのループを完成させます。
Filecoinを利用することで、あなたのデータは可搬性と主権性を維持します。プロバイダーを自由に選択でき、オンチェーンでストレージ証明や支払い記録を監査でき、いかなる単一の企業やプロバイダーにも依存しません。これこそが、経済的インセンティブによって駆動され、IPFSと補完し合うことを目的とした、信頼不要な永続化レイヤーです。
Filecoin Pinは、オンチェーンのスマートコントラクト、分散型ストレージプロバイダー、そしてIPNIやIPFSゲートウェイなどの一般的なIPFSツールによって完全に駆動されています。開発者はMetaMaskなどのWeb3ウォレットで継続的なストレージ料金を支払い、PDP Scanブラウザで検証可能なストレージ証明を監査できます。
はじめよう
今日から、開発者はFilecoin Pinを使って、IPFS dApp、ワークフロー、ウェブサイト、エージェントなどのアプリケーションをサポートできます!
現在、Filecoin Pinをすぐに使い始める方法は3つあります:
- Filecoin Pinコマンドラインツール(CLI) — コマンドラインから新規または既存のIPFSファイルを直接Filecoinにアップロード。
- Filecoin Pin GitHub Action — GitHub Actionsを使ってウェブサイトやビルド成果物(build artifacts)を自動的にIPFSとFilecoinに公開。
- Filecoin Pin dAppデモアプリ — Filecoin Pinを利用したシンプルなdAppデモアプリを実行またはフォーク(fork)。
皆さんがどんなアプリケーションを構築するのか、私たちはとても楽しみにしています!ここにいくつかのインスピレーションを紹介します:
- 信頼不要なオンチェーンAIエージェント、完全な主権データストレージと永続化を実現。
- 写真、動画、大容量ファイル向けの自動バックアップツール。
- ウォレット資金によるPin機能を内蔵した個人ENSウェブサイト公開フロー。
- NFTオンチェーン保存用のData DAO。
- チェーンスナップショットや歴史的チェーン状態のリアルタイムデータ可用性の提供。
- kuboやhelia用のDaemonサイドカー、各新規『ipfs add』操作結果をFilecoinにpin。
- ユーザー課金によるデータ永続化機能を備えた新しいp2pコラボレーションツール。
そして、さらに多くの可能性があります!
免責事項:本記事の内容はあくまでも筆者の意見を反映したものであり、いかなる立場においても当プラットフォームを代表するものではありません。また、本記事は投資判断の参考となることを目的としたものではありません。
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