ビットコインネットワークプロトコルの「硬直化」現象について探る

なぜ私たちはbitcoinプロトコルの改良に引き続き取り組むべきなのかについて述べる。

執筆：Jameson Lopp

翻訳：LlamaC

（作品集：Burning Man 2016、Tomoについて：eth Foundationイラストレーター）

おすすめコメント：本稿は再びbitcoinネットワークプロトコルの「硬直化」現象について論じている。bitcoinの普及とネットワーク規模の拡大に伴い、プロトコルの変更が難しくなるのは、避けられない自然なプロセスのようだ。著者は、硬直化は必然であるものの、bitcoinは慎重かつ広範な議論を通じて必要なプロトコル改良を続けるべきであり、長期的な活力と安全性を維持すべきだと考えている。

本文👇

ネットワークプロトコルの文脈において、硬直化とはその進化や変化の速度が遅くなることを指す。これはネットワーク物理学の法則のように思える。本質的に、ネットワークプロトコルがより広く採用されるにつれ、ネットワークの「質量」が増加し、プロトコル利用者間のソフトウェアアップデートを調整してネットワークの方向性を変えるために必要な労力が大幅に増加する。最終的には、分散化された多数の参加者を調整できないため、いかなるプロトコル変更も安全に有効化する能力がネットワークの巨大な重みによって圧倒される。

したがって、bitcoinの硬直化は避けられない。しかし今日に至るまで、私たちはプロトコルを意図的に硬直化させるべきかどうかを議論し続けている。私はこの立場に強く反対しており、現時点ではまだ多くの改良の余地があるため、基礎プロトコルの変更を放棄するのは時期尚早だと考えている。

私は、bitcoinは慎重かつコンセンサス主導の方法で合理的かつ広範に有益なプロトコル改良を実施する意志を持つことで、長期的に活力・関連性・安全性を維持できると提案する。現時点で進歩を凍結する硬直化は傲慢であり、歴史を無視し、bitcoinを創造した当初の先見性を拒絶するものだ。熟慮された継続的な進化こそがbitcoinの長期的な価値提案の鍵である。デジタルゴールドが実物ゴールドより優れているのは、それが惰性ではないからだ。つまり、実物ゴールドの属性は改良できないため、ゴールドの金融イノベーションは中央集権的な借用証書によって実現される...しかしbitcoinの属性は改良可能であり、許可不要な利用を強化できる。

歴史から学ぶ

bitcoinはわずか15年の歴史しかないが、すでに多くのコンセンサス変更やアップグレードを経験している。現時点が理想的な停止点だと仮定するのは時期尚早だ。プロトコルは存続可能性を維持するために時とともに適応する必要がある。

私たちはSMTPのような他の一般的なネットワークプロトコルから教訓を得るべきだ。bitcoinが硬直化すれば、開発者は必要な機能を追加するためにその上にますます複雑なレイヤーを構築することになる。複雑さは脆弱性や悪用のリスクをもたらす。

分散型電子メールの消滅：電子メールプロトコルが数十年にわたり中央集権化と抑圧の過程をたどった歴史的回顧

これはBitcoinOS / BitVM / BotanixのSpiderchain / Citreaのゼロ知識ロールアップのような複雑なレイヤーを批判するものではない——彼らは利用可能なツールセットを最大限に活用しようとしている。bitcoinを万能プロトコルにしたいわけではないが、基礎レイヤーに低レベルの機能を追加することで上位レイヤーの機能構築の複雑さを大幅に削減できるなら、それは意味がある。

今後の可能な進路

契約、ボールト、ペイメントプールなど多くの理想的な機能は基礎レイヤーのアップグレードを必要とする。プロトコル自体でこれらの機能を明確に構築する方が、ハック的なオーバーレイレイヤーを使うよりはるかに良い。より多くのビルディングブロックを持つ基礎レイヤーはbitcoinに新たな設計空間を開く。

bitcoinの第2レイヤー開発者がOP_CAT導入を望むというニュースについて、OP_CATが多くのプロジェクトにとって有益であり、許可不要のイノベーションを加速させることを強調している。すべての改良が基礎プロトコル外の他レイヤーで完結できるという意見は、通常、他レイヤーを構築しようとしたことがない人によるものだと彼は考えている。

慎重かつ十分にテストされたアップグレードは、徹底的な議論とコミュニティのコンセンサスを経て実施される限り、財産権やbitcoinのコアな安定通貨としての主張を損なうことはない。アップグレードはユーザーの意思を反映するものであり、ユーザーに押し付けるものではない。

私はbitcoinの可能性はこれまで実現されたものをはるかに超えていると信じている。私はbitcoinブロックチェーンを、さまざまなシステムがアンカーできる暗号的アキュムレータと見なしている。しかし、私たちは可能性の表面をなぞったに過ぎない。もし今硬直化してしまえば、許可不要の第2レイヤーネットワークの構築がこれほど困難な状況で、開発者の手足を縛り、ブロックスペースの最も価値ある用途を探る実験を大きく制限することになる。

よく「bitcoinを変える必要はない、他レイヤーで拡張できる」と言われる。確かに、開発者が制約を受けなければそれは素晴らしい！しかし基礎レイヤーには、許可不要の第2レイヤーネットワークを容易に展開するために必要なすべての原始的ビルディングブロックが揃っているわけではない。例えば、bitcoinスクリプトを再び強力にすることができる。

Rusty Russellが彼の偉大なスクリプト復活プロジェクトを説明：bitcoinのv0.3.1バージョンでは多くのスクリプトオペコードが無効化され、その中で最も有名なのがOP_CAT。これらのオペコードを再有効化すれば膨大な可能性が解放されるが、現代のbitcoinシステムにはそれらを補完する追加のオペコード（例えばキー加算）がある。この講演は、bitcoinスクリプトを可能な限り強力にしつつ、当初弱体化された原因となった落とし穴を回避する一貫したモデルを提案することを目的としている。

私たちは3つの異なるフォークを実装し、3つの異なるビルディングブロックを有効化してLightning Networkを作り上げたことに注意してほしい。これらのフォークによる機能がなければ、Lightningプロトコルはより不格好で、ゲーム理論的にも洗練されなかっただろう。

他にもSIGHASH_ANYPREVOUTのようなソフトフォークを行えば、Lightning Networkを大幅に強化し、チャネルファクトリーの存在を可能にし、Lightning Networkの効率を数桁向上させることができる。クロスインプット署名集約のようなプライバシー強化フォークも可能だ。OP_CTVのようなフォークによって契約やボールトでセルフカストディの安全性を高めることもできる。多くの将来の可能性が見えているが、これらの方向に進むのはますます困難になっている。

主権とセルフカストディについて

スケーラビリティも長期的な課題の一つだ。Greg Maxwellは2015年にこう言った：

システムコストが高すぎると、人々はシステムルールを独立して実行するのではなく、第三者を信頼せざるを得なくなる。bitcoinブロックチェーンが利用可能な技術に対してリソース消費が大きすぎる場合、bitcoinは従来システムに対する競争優位を失う。なぜなら検証コストが高すぎて多くのユーザーが負担できず、信頼がシステムに戻ってしまうからだ。容量が低すぎて取引効率が悪い場合も、チェーンアクセスによる紛争解決コストが高すぎて、やはり信頼がシステムに戻る。

ブロックサイズ論争で勝利した検証の分散化は物語の一部にすぎない。経済参加者の分散化もbitcoinの長期的成功には重要だ。bitcoinの未来を決めるのはノードの意思ではなく、経済的多数ノードの意思であることを忘れてはならない。bitcoinの経済参加者にはマイナー、保有者、トレーダー（企業やカストディアンを含む）がいる。重要なのは——中央集権化によって経済的に重要なノード数が減り、コストのために大多数のbitcoinユーザーがセルフカストディできなくなれば、プロトコルの「ガバナンス」はより中央集権的かつ脆弱になると予想すべきだ。

現状のbitcoinでは、世界で1億（100 millions）程度の主体しかbitcoinの基本属性を享受できないかもしれない。80億（8 billions）人の世界で、これは価値と希少性の構図を変える新しい分散型通貨をもたらすのではなく、単に新たなエリート階層を生み出すだけだ。歴史上のすべてのエリート集団と同様、最初は繁栄を生み出し、最終的にはパンとサーカスに堕する。bitcoinは初めて、権力を一つのエリート集団から別の集団に移すだけでなく、最大限の分散化を実現する可能性を持つが、それはプロトコル改良と世界中のより多くの人々にbitcoinの基本属性を届ける努力を続ける場合に限られる。

「他レイヤーで何でもできる」という主張は、bitcoin上のいかなるレイヤーも基礎レイヤーと同じセキュリティモデルを提供できないという事実をしばしば無視している。bitcoin上にレイヤーを構築するたびに、そのレイヤーのセルフカストディユーザーのために全く新しいゲーム理論とトレードオフを設計する必要がある。

硬直化という思考の鋼印

硬直主義者は、bitcoinはすでに健全な通貨・価値保存手段としてのコア機能を実現していると考える。さらなる変更は、善意であっても不要なリスクをもたらし、bitcoinの価値ある特性を損なう可能性がある。プロトコルを硬直化することで、bitcoinが長期にわたり信頼でき、分散化され、改ざん不可能な通貨システムであり続けることを保証できる。

1. bitcoinの基本属性への信頼維持：

bitcoinの主な価値提案はその固定供給と不変性である。プロトコルのいかなる変更も、たとえソフトフォークであっても、これらのコア属性への信頼を損なう可能性がある。プロトコル変更の能力自体がインフレ計画への信頼を低下させると主張する人もいる。

2. 開発者コントロールと中央集権リスクの低減：

bitcoinの継続的な変更を許すことは、開発者に過度なプロトコル影響力を与える。これは中央集権リスクを生み出し、少数の人間がbitcoinの属性を変更できる可能性がある。

3. 予期せぬ結果への警戒：

善意かつ十分にテストされた変更であっても、ネットワークに予期せぬ影響を及ぼす可能性がある。bitcoinの価値と重要性が高まるにつれ、これらの予期せぬ結果の潜在的影響も大きくなる。

4. 成長に伴う変更の困難さ：

bitcoinの採用率が上がり、その上に構築される経済価値が増えるにつれ、いかなる変更もよりリスキーで破壊的になる。硬直論者は、プロトコルはTCP/IPや電源プラグ標準のような安定点に到達すべきだと考える。

5. bitcoinを健全な通貨として維持：

bitcoinの主な目標は、価値減少から免れた新しい通貨システムとなることだ。硬直化はこのコア機能を維持し、不必要な潜在的改良のために基本属性を危険にさらすことを防ぐ。

硬直化のよくある主張

硬直派は、bitcoinは現状で非常にうまく機能しており、プロトコルルールは極めて変更に抵抗すべきで、その不変性・非インフレ性・非政治的通貨としてのコア価値提案を維持すべきだと考える。善意の変更であっても大きなリスクを伴い、bitcoinの長期的成功と安定性を危うくする可能性がある。

1. 壊れていないものは直すな

bitcoinは現行プロトコルの下で成功を収めており、わずか15年で時価総額0ドルから1.4兆ドル（1.4 trillions）に成長した。この成功を拙速または不要な変更で危険にさらす必要はない。

2. 安定性が最重要

bitcoinのコア価値提案はその安定性と予測可能性である。プロトコルルールは気まぐれに変更されるべきではない。頻繁な変更はbitcoinの不変本質への信頼を損なう。

3. 慎重に行動せよ

bitcoinプロトコルの変更は極めて重大な作業であり、憲法改正や数百年続く法律の設計に匹敵する。いかなる変更もゆっくり、慎重に、保守的に行われ、すべての長期的影響を考慮した上で実施されるべきだ。

4. 賭け金が大きいほど慎重に

bitcoinが大きく、成功するほど、いかなるプロトコル変更にも慎重であることが重要になる。今や1兆ドル（1 trillion）超の価値と国家レベルの買い手が関与しており、私たちはミスや不要なリスクを取ることはできない。

5. 地獄への道は善意で舗装されている

善意のプロトコル変更であっても、マイナー、開発者、保有者の経済的利益を損なうなど、予測不能な悪影響をもたらす可能性がある。潜在的リスクは理論上の利益を上回るかもしれない。

6. シンプルに保て、バカ

すべての新機能や改良が基礎プロトコルレイヤーで実装される必要はない。多くのことは第2層や第3層など上位レイヤーで実現でき、bitcoinのコアなセキュリティモデルや安定性を危険にさらすことはない。

7. 変化する世界での不変通貨

絶え間ない「改良」やプロトコル変更は、bitcoinが安定した非政治的通貨・決済ネットワークであるという約束に反する。硬直化は、bitcoinが特定の利害集団に乗っ取られたり、予測不能な変異を起こすことを防ぐ特性である。

8. bitcoinは通貨だけであるべき

ブロックスペースをトークン/NFTなど非通貨目的に使うことは、流行やポンジスキームを助長し、正当なユーザーがbitcoinを通貨として利用する機会を奪うだけだ。

硬直化論への私の回答

bitcoinの基本属性への信頼維持：

bitcoin属性への信頼や悪いアイデアの実装を拒否する能力は、最終的にはプロトコル変更のガバナンスプロセスに依存しており、変更を不可能にすることではない。bitcoinは暗号アナーキズムであり、デフォルトで無関心なシステムであり、強力な拒否権を持つ。bitcoinのガバナンスがこれまでうまく機能してきたと信じるか、単に運が良かっただけでシステムがいつ崩壊してもおかしくないと考えるか、どちらかだ。

Jameson Lopp - ブロックチェーンを活用して官僚主義を打破するというテーマの基調講演

開発者コントロールと中央集権リスクの低減：

上記と同様、プロトコル変更を巡るゲーム理論が妥当だと信じるか、これまで運が良かっただけだと考えるかのどちらかだ。bitcoin開発者は、誰にも同意しないコードを強制することはできない。

bitcoin coreを誰がコントロールしているのか？bitcoin開発の仕組みを知る。

さらに、内部開発プロセスは非常に厳しい。提案されたルールやコード変更の大半は厳しい審査を通過できない。

bitcoin coreコントリビューターが直面する課題：bitcoin coreプロジェクトで受け入れられたコード変更と却下されたコード変更の歴史を深掘り。

4年前の私の調査をまとめると：

すべての却下されたBitcoin Coreプルリクエストを調べた結果：

• 9,011,209行の新規コードが却下
• 6,279,435行の削除コードが却下

つまり、合計15,290,644行のコード変更が却下され、受け入れられたコードは3,651,046行だった！

これは、執筆時点で提案されたコード変更のうち19%しかbitcoin coreに採用されていないことを示している。

予期せぬ結果の防止：

私の見解では、未知の未知や予期せぬ結果への恐怖は有効な論拠ではない。なぜなら、すべての決定には未知の未知があるからだ。プロトコルを変更することにも未知の未知がある。変更しないことにも未知の未知がある。常に定量化できない未知の未知が存在するため、この論点は実際には自己矛盾している。警戒心こそがbitcoinの反脆弱性の本質だ。

成長に伴う変更の困難さ：

これは実際、両者が異論のない論点だと思う。ネットワークが成長し価値が増すにつれ、変更はますます困難になってきたし、今後もそうだろう。

bitcoinを健全な通貨として維持：

bitcoinが機能する世界は決して硬直化しない。世界は常にbitcoinに新たな問題を投げかける。もし適応できず問題を解決できなければ、粗雑で中央集権的な解決策が無理やり追加されることになる。これがSMTP衰退の原因だ。重要なのは、bitcoinの特性は硬直化によって保証されるものではないということだ。

壊れていないものは直すな

誰も拙速な変革を推進していないし、bitcoinが特定の機能なしで「崩壊」するという真剣な論拠を出せる人もいない。しかし、bitcoinの利用形態が変化することは言える。過去15年間で、すでに大きく変化している。

安定性が最重要

中本聡がプロジェクトを去って以来、bitcoinのルールが「気まぐれに変更」されたことはない。中本聡は他者に相談せず一方的に変更を加えたことがある。影響力のある人物がbitcoin開発者を「修理屋」と見なすのは事実と大きく異なる。開発者が極めて慎重なため、bitcoinの変化速度は年々大幅に鈍化している。

慎重に行動せよ

確かに、十分に検証されたゆっくりとした安定した改良こそがイノベーターの求めるものだ。

賭け金が大きいほど慎重に

私たちは絶対にミスを避ける努力をすべきだ。しかし、ミスは取り返しがつかないものではないと自信を持つべきだ。bitcoin coreは過去に多くのバグを導入したが、事故を起こすことなく修正されてきた。bitcoinネットワークがコンセンサス失敗に見舞われたときも、ネットワーク参加者の警戒心により数時間で復旧した。これこそがbitcoinの反脆弱性の基本的特徴だ。

bitcoinは真空中に存在するわけではない。ある意味で、それは生きた有機体だ。停滞によって繁栄する生命体は存在しない。

bitcoinは通貨の菌糸体 — By Brandon Quittem

地獄への道は善意で舗装されている

これも自己矛盾した論点だと思う。bitcoinエコシステムは極めて複雑で、無数の活動部分と参加者から成る。プロトコル以外のシステム部分が時とともに変化するため、これらの変化がもたらす予測不能な結果に備えるべきだ。

シンプルに保て、バカ

これは両者が広く同意するもう一つのポイントだと思う。基礎レイヤーにとって最も重要な変更は、他の許可不要なレイヤーに大きな影響を与え、基礎レイヤーの問題を気にせず実験できるようにする変更だ。

変化する世界での不変通貨

これはbitcoinガバナンスのゲーム理論を信じていないことの表れだと思う。システム固有の抑制と均衡を信じないなら、bitcoinを本当に信じているとは言えない。

Jameson Loppは自身の投稿で、公共の許可不要なコンセンサスシステム（公共ブロックチェーンなど）は、ユーザーが特定の個人を信頼せずに利用できるが、すべての参加者を集合的に信頼する必要があると指摘している。

後述するように、硬直化自体もbitcoinが特定の利害集団に乗っ取られるリスクをもたらす。答えは麻痺ではなく、警戒と新たな圧力や敵に適応する能力だ！

bitcoinは通貨だけであるべき

bitcoinのどのユースケースをスパムと見なすべきかという議論は長く続いている。私はこの議論をあまり面白いとは思わない。なぜなら、結局は主観的価値の議論であり、ブロックスペースの非金融用途が客観的価値を持つことは実証的に観察できる——人々はその特権に対して料金を支払う意思がある。

技術的には、bitcoinはデータストレージであり、ブロックチェーンは基本的に追加のみ可能なログで、他にもいくつか興味深い特性を持つ。したがって、人々は10年以上前からbitcoinを非金融用途に使ってきた。8年前に私が書いたように、これらのデータの永続性と不可逆性の信頼性こそが、人々が非金融目的で利用する動機となっている。

bitcoin：ブロックチェーンの海における信頼のアンカー。bitcoinは計算セキュリティ面で最も強力な許可不要ブロックチェーンであり、最も多くのリソースを投入してその安全性を確保している。

ブロックスペースの長期的な市場がどうなるかは分からない——つまり、どのブロックスペース利用が最大の効用と価値をもたらすかは分からない。半減期ごとにこの問題はますます重要になる。私は、より多くの機能とより多くの実験レイヤーがあれば、ブロックスペースの最も価値あるユースケースを見つけられる可能性が高まると信じている。例えば、ゼロ知識ロールアップの動力源になるかもしれない。今はまだ分からないので、イノベーターが設計空間を探求し続けるべきだと思う。

私の見解では、これらすべての論点は結局何なのか？

Jameson LoppはXで、bitcoinエコシステムにおける「定着者」と「イノベーター」の関係について考察している。

よくある質問

これらすべての非バグ修正プロトコル変更案が「良いが不要」だったらどうする？これは単にbitcoin技術ギークたちが象牙の塔で技術的興味を追い求めているだけで、それらの興味はbitcoinがいつかグローバル通貨になるために絶対必要なものではないのか？

私は必要か否かの問題ではないと考える。これは道を探る問題であり、bitcoinの設計空間を探求し、システムの価値を最大化する問題だ。明確にしておくと、今すぐbitcoinを硬直化させても、量子計算やタイムスタンプオーバーフローのような重大問題に直面するまで、長期間正常に動作し続けるだろう。しかし開発制約のため、bitcoin自体の性質は異なる形で進化することになる。

変更の「停止点」はどこだと思う？bitcoinはいつ十分良くなったと言えるのか？

私たちは改良できなくなるまでbitcoinを改良し続けるべきだ。2017年以降、bitcoin改良提案は急激に減少しており、それ以降は月平均1件未満だ。多くの提案はアクティベーションガイドすら付属していない。開発者がその厳しい審査を受けたくないからだ。その結果、プロトコル開発の人材が失われ、鈍化がさらに加速している。

プロトコル変更は「バグ修正とメンテナンス」に限定し、「新機能」は含めるべきでないのか？

確かにそれも一つの選択肢であり、最終的にその道を選ぶかもしれない。しかし私は現状に満足すべきではないと思う。

bitcoinエコシステムがソフトフォークやハードフォーク変更を支持・推進する可能性のあるシナリオを説明してほしい。

システムの継続的運用を脅かす重大な問題が発生した場合。しかし、硬直化の本質は将来の緊急修正を非常に困難にする可能性がある。

1. 数十年にわたりbitcoinのコンセンサスルールにいかなる変更も加えていないと想像してみてほしい。つまり、現時点のbitcoinプロトコル開発者はコンセンサス変更を経験したことがないかもしれない。この場合、私たちにとって良い兆候とは言えない。
2. いくつかの潜在的な問題があり、それらがいつ重大になるか正確には分からない。硬直化の本質は、これらの問題解決を常に先送りし...おそらく手遅れになるまで放置することを意味する。量子計算についての私の最近の講演を見て、この状況の具体例を知ってほしい。

Jameson Loppは2024年bitcoin Future Conferenceの基調講演「Protecting Satoshi's Stash」で量子コンピュータのリスクについて論じている。bitcoin保有量を真剣に守りたい人は必見の内容だ。

結語

私たちはbitcoinを改良し、その機能を強化し、より多くの許可不要なシステムがアンカーできるように努力すべきだ。bitcoinがEVMベースのネットワークのようなごった煮プロトコルになるべきでないことには同意するが、現状では、イノベーティブな開発者が極めて複雑な重荷となるロジックを作らずにイノベーションを起こすのが難しい状況だ。

硬直化は自己満足である。確かに、私たちはbitcoinが素晴らしいことに同意している。しかし、私はbitcoinがその全潜在能力に到達したとは思わない。自己満足こそがbitcoinの最大の脅威の一つだと考える——過去の栄光に安住してはならない。

技術は本質的にデフレ的だ。bitcoinのコンセンサスルールはセキュリティを最優先し、できる限り多方面でシステムの分散化を維持すべきだ。これはノード運営者だけでなく、ブロックスペースの利用者も含む。結局、価格のためにブロックスペースを利用できない人は、確実にフルノードも運用しないだろう。また、開発者が許可不要な第2レイヤーを構築する能力を強化し、ブロックスペースを暗号アキュムレータとして活用する潜在的ユースケースを探求し続けるべきだと考える。そうすることで、持続的需要の道を見つけ、bitcoinの熱力学的セキュリティのために永続的にブロックスペースに支払いがなされる可能性が高まる。

私たちはbitcoinの未来を楽観主義で切り開くのか、それとも悲観主義で閉ざすのか？

Jameson LoppはXで、bitcoinイノベーターと硬直化主義者の立場を比較し、bitcoinの反脆弱性（antifragility）か脆弱性（fragility）は個人の信念に依存すると述べている。

明確にしておきたいが、慎重さは極めて重要だ。どこでも「bitcoinはX機能を実装しなければ失敗する」と主張する私を見ることはないだろう。私の見解では、bitcoinの成功こそが改良を難しくしている要因の一つだ。

Jameson Loppは自身の投稿で、bitcoinの為替レートはその独自の特性が徐々に失われても上昇し続ける可能性があると指摘し、新たに得た富に油断しないよう警告している。

しかし、恐怖に麻痺してしまえば、前進の可能性を犠牲にし、bitcoinの設計空間の探求を大きく制限することになる。それは採用、ユースケース、有用な属性の強化を制限することにつながると私は考える。

予防措置の苦しみは、避けようとする危険を上回ることが多い。- ナポレオン・ボナパルト

一つ注意しておきたい。なぜbitcoinプロトコルの改良を望む動機があるのかを考えてほしい。そうしたい理由は、あなたがプロトコルの直接の利用者である場合だけだ。つまり、プロトコル改良はセルフカストディする人にしか意味がない。信頼できる第三者に資金を預けているなら、彼らがプロトコルをどう使うかは気にしないだろう。

Jameson LoppはXで、伝統的金融界（TradFi）のbitcoin採用はプロトコル改良やネットワーク拡張に関心がなく、セルフカストディにも興味がないと指摘。bitcoinの次の戦いが始まろうとしていると予測している。

もしかするとbitcoinはすでに硬直化しており、ここに書いたことはすべて無駄かもしれない。十分な振り返りの視点を持つまで、それは分からない。世界は決して進化を止めない。私たちはbitcoinが進化し続けることを望むのか、それとも取り残されることを選ぶのか、自問しなければならない。

ともに前進しよう。

前進。