終末の戦車が始動？いや、今回はICPたちに本当に理由がある

Web3がインターネットの基盤に挑戦しようとする時、すでに感情が高ぶっている証拠だ。

執筆：Eric，Foresight News

11月1日から、長らく音沙汰のなかったInternet Computer（IC）トークンICPが上昇を開始した。Bitgetのデータによると、ICPの価格は2.94ドル付近から最高8.6ドル付近まで上昇し、7日間でほぼ2倍となった。

ICPの上昇に伴い、Web3ストレージ基盤プロジェクトも小規模な春を迎え、FIL、AR、STORJなども昨日から良好な上昇を記録している。

ICPやFILのような「旧時代の遺産」は、予兆のない上昇があるたびに、主力資金が撤退する前の最後の流動性回収行為と見なされがちだが、今回ICPが牽引した上昇は本当に「全くの予兆なし」とは言えない。

Internet ComputerはAIブームに乗った

今回のICP上昇の核心的な理由は、おそらくx402が牽引したWeb3 AI決済ストーリーにある。数多くの模索の末、市場はAI決済分野でブロックチェーン基盤とステーブルコインを採用することが、現行の決済ソリューションより明らかに優れており、唯一のより良い選択肢であることに気づいた。したがって、市場がターゲットを探す論理は「誰がよりWeb3的か？」となった。

各チェーンがx402やガスレス決済をサポートするソリューションを模索する中、基盤設計でこの分野のニーズにより適合しつつも、ほぼ忘れられていたICが「選ばれし者」となった。

2021年当時、ICは「時代を先取りしすぎた」プロジェクトと見なされていた。厳密に言えば、ICは純粋なブロックチェーンではなく、そのアーキテクチャはブロックチェーンのデータ構造を参考にした「新しい分散型インターネット」に近く、ブロックチェーンのさらに低い基盤インフラ層として存在し得る。zCloak Network創業者の言葉を借りれば、ICは基盤レベルで現在のオンチェーンの全ての「トレンド」を包含しており、「Ethereumや他のパブリックチェーンは台帳、ICPは真のワールドコンピュータ」だという。

しかし、真に感情を爆発させたのは、ICがWeb3+AIの最良インフラであるという事実だけでなく、ICの最新の主力製品caffeineの存在だ。これは、開発操作を一切必要とせず、AIとのチャットを通じてDAppを生成し、そのままIC上に自動で公開できる製品である。

XユーザーのHaotianは昨日午後、caffeineがAI決済にもたらす可能性についての見解を述べ、中国語市場の感情をさらに発酵させた。

もちろん、Haotian自身も指摘しているように、これら全てが本格的に実現するにはまだ距離がある。しかし、x402やAIの人気投資先が一巡した後、価格が低く想像力豊かなICが資金の注目を集めるホットスポットとなったのは自然な流れだ。

黙々と進化するストレージプロトコル

ストレージプロトコルトークンの一斉上昇について、先日のAWSの一時的な障害が原因だとする見方はややこじつけだろう。筆者は、市場のWeb3ネイティブインフラへの信頼がICから他分野に波及し、ストレージが最も想起しやすく、優良なターゲットとなったのだと考える。

感情を抜きにしても、トークン価格は低迷しているものの、ストレージプロトコルは着実に努力を続けている。

まず、「最初から頂点」の典型例の一つであるFilecoinは、昨年1年間で注目すべき進展があった。昨年第4四半期には、Filecoinネットワークのストレージ利用率が18%から30%に向上し、低コストの優位性のもと、Filecoinの利便性が高まったことで多くの企業がFilecoinのサービスを採用し始めている。

さらに、今年に入り、ホットデータ（頻繁に素早く検索されるデータ）向けの新しい証明プリミティブPDP（Proof of Data Possession）、取引の最終性を数時間から数秒に短縮するF3（Filecoin Fast Finality）、EVM互換のFVMのローンチ、そして従来のクラウドサービスと競合することを目指すFWS（Filecoin Web Services）の推進など、Filecoinは実際の利用面でますます成果を上げている。

Arweaveは昨年末にリリースしたPermaweb 2.0で、ホットデータをメインネットに、コールドデータを「Arweave-Lake」に保存することで、ストレージコストを38%削減した。今年に入り、Arweaveはストレージだけでなく、計算ネットワークAOをリリースし、単なるストレージから複雑な計算需要（例えば投資戦略）にも直接対応できるようになった。これはWeb3+AIのトレンドとも合致している。

2ヶ月前にローンチされたzkIPFSは、Arweaveノードを「ZKP付きの永久IPFS」に変え、SolidityコントラクトがzkCIDを通じてオフチェーンメタデータを直接読み取ることで、EVMとArweave間の信頼不要な相互運用性を実現した。総じて、Arweaveはストレージコストの最適化と同時に、AOとzkスイートを活用して高並列計算とEthereum相互運用という2つの新たな成長曲線を切り開いている。

StorJ自体はブロックチェーンとはあまり関係がないが、採用推進には常に尽力している。StorJは昨年、GPU計算に特化したValdi.aiとファイル管理システム開発のPetaGeneを買収し、AIトレーニングのサポートを開始した。今年は2022年にStorJに加わったColby WinegarをCEOに昇格させ、成長戦略をさらに推進した。加えて、StorJは今年トークン経済モデルを最適化し、バイバックとステーキングを導入した。

ブロックチェーンが再び世界を変えようとする時……

認めざるを得ないのは、今回プライバシーコインを含むトークンの大幅な上昇のタイミングが、「終末戦車」に支配された恐怖を再び思い出させることだ。過去と異なるのは、今回は戦車たちにも論理的に整合性のある説明が上昇を支えている点であり、また、理由がプロジェクト自身の「価格が上がらなければ誰も注目しない進展」ではなく、ホットな資金が新たなターゲットを見つけたという点だ。

しかし、リスク警告は依然として必要だ。ここで最大のリスクは、私たちが再びブロックチェーンが何かを置き換えられると考え始めていることだ。過去、市場がこのような自信に満ちた危険な考えを持つたびに、それは感情のピークだった。今回は多少理性的なフィルターをかけて見ているが、確かに以前とは異なる点もあるものの、筆者はこれらの違いが「置き換え」に至るほど強力だとは思わない。したがって、感情過多のリスクには引き続き注意が必要だ。