JAMは12〜20ヶ月以内にリリース？3人の主要開発者がM1、PoP経済モデルとZKの未来を解説！

JAM、この名前はPolkadotコミュニティで長い間議論されてきました。Gavin WoodがWeb3 Summitで一連の重要な情報を発表したことで、JAMへの期待と疑問は新たな高みに達しました——JAMとは一体何なのか？Polkadotにどのような変化をもたらすのか？正式リリースまでどれくらいかかるのか？

コミュニティがより包括的に理解できるように、PolkaWorldはJAMのコア開発に直接関わる3名のゲストを招待しました——AcalaチームのBryan、JAM Rust実装「FastRoll」の開発者Junha、そしてJAM Zig実装「JAMZig」の開発者でPolonaプロジェクトの共同創設者Boy Maasです。

3名のゲストはJAMの技術的実装に深く関与しているだけでなく、多言語クライアント実装からクロスチェーンツールチェーンの移行、そしてPVMの将来の応用まで、さまざまな方向でJAMの可能性を探っています。彼らはJAMの現段階の進展を最も代表する人物です。

今回のインタビューでは、彼らが第一人者の視点でJAMの世界へと私たちを案内します：

• Gavinが発表したJAMの重大アップデートは一体何を意味するのか？
• JAMのトークン上限（π × 10億）とPoP（Proof of Personhood）メカニズムは、Polkadotの経済モデルをどのように変えるのか？
• Milestone 1の技術目標と進捗は？テストネットはいつローンチされるのか？
• ZK（ゼロ知識証明）は将来JAMとどのように組み合わさるのか？
• JAMのガバナンスメカニズムとグレーペーパー編集委員会は、プロトコルの長期的な進化にどのような影響を与えるのか？

JAMの未来や、それがPolkadotエコシステムのインフラをどのように再構築するかを知りたいなら——今回の内容は見逃せません。

3つのJAM開発チームを知る

Kristen：皆さんこんにちは、Kristenです。本日はJAMのコア開発者3名をお招きしています。彼らはJAMの開発に直接関わっています。PolkaWorldやPolkadotの最新動向をフォローしている方なら、最近Web3 Summitが開催されていることをご存知でしょうし、GavinがJAMに関する重要な発表を行ったことも知っているはずです。コミュニティからも多くの質問が寄せられているため、急遽このライブ配信を企画しました。3名のゲストの話を通じて、GavinがWeb3 Summitで発表したJAMの内容をコミュニティがより深く理解できることを願っています。

まず最初のパートでは、3名のゲストに順番に簡単な自己紹介と、JAMプロジェクトで担当している部分、現在の開発進捗についてお話しいただきたいと思います。何度も出演しているゲストもいますが、毎回新しい視聴者がいるので、改めて自己紹介をお願いします。まずはJunhaさんから始めましょう。

Junha：Kristenさん、ご招待ありがとうございます。皆さんこんにちは、Junhaです。今回がこの番組への初出演です。

現在、私はJAMプロトコルのRust言語実装「FastRoll」を開発しています。今のところチームは私一人だけで、独立開発者という立場です。

このプロジェクトには約1年取り組んでおり、現在は第一段階のマイルストーン審査に向けて準備を進めています。同時に、第二段階の作業も一部始めています。

Kristen：Junhaさん、ようこそ！続いてBryanさん、自己紹介をお願いします。

Bryan：皆さんこんにちは、Bryanです。Acalaチームから来ました。現在、私は小さなチームを率いてJAMプロトコルの別の実装「Boka」を開発しています。

• 現在、第一段階の最終調整を進めており、同時にいくつかのオフチェーンコンポーネントのアップデートも行い、第二段階に備えています。
• また、PVMリコンパイラの開発も始めたばかりですが、まだ初期段階で完成までは時間がかかりそうです。

Kristen：ありがとうございます、Bryanさん。実はBryanさんはJAMプロジェクトを最初に紹介してくれたゲストです。また来てくれて嬉しいです。最後にBoy Maasさん、以前もインタビューさせていただきましたね。

Boy Maas：はい、そうです。皆さんこんにちは、Boy Maasです。私はJAMプロトコルのZig言語実装「JAMZig」の独立開発者です。

同時に、私はJAMエコシステム上のプロジェクトの共同創設者でもあります。私たちのプロジェクトの目標は、SolanaのツールチェーンとSolana Virtual Machine（SVM）を完全にJAM上に移植することです。すでに概念実証段階を終えており、いくつかの基本機能は動作しています。

JAMは12〜20ヶ月以内に正式リリース？

Kristen：Boy Maasさん、ようこそ。Polonaは本当に先進的なプロジェクトで、Solana開発者をPolkadotエコシステムに引き込むことを目指しているのは素晴らしいアイデアですね！3名のゲストの参加を歓迎します。

最初のトピックとしてBoy Maasさんに質問します。Web3 Summitに参加されましたね。TwitterでもGavinの講演に関する多くの情報を見かけましたが、現場での体験や印象に残ったことを開発者の視点から分かりやすく教えていただけますか？

Boy Maas：もちろんです。現場にいるのは本当に素晴らしい体験でした。Polkadotコミュニティの多くのメンバーに会え、さまざまな興味深い発表を通じてコミュニティ全体のダイナミズムを実感できました。雰囲気も非常にポジティブで活気があり、将来への期待が高まりました。今日は最終日なので、この経験を持ち帰って開発をさらに進めたいと思います。

Kristen：Gavinの講演はご覧になりましたか？

Boy Maas：はい、見ました。

Kristen：印象に残った内容をシェアしていただけますか？Twitterではテキスト情報が多いですが、開発者の視点で分かりやすく説明してほしいです。

Boy Maas：もちろんです。Gavinは講演で多くの内容に触れました。彼は非常に先見の明があり、経験も豊富なので、彼の決断や新しいアイデアはコミュニティ全体の将来の方向性に大きな影響を与えます。

最も重要なのは、JAMのトークン供給総量が「π×10億」（π × 1,000,000,000）というハードキャップに設定されたことです。これは非常に大きな出来事で、多くの影響をもたらします。

もう一つのポイントは、GavinがPolkadotコミュニティにJAMが何なのかをより明確に伝えようとしたことです。JAMは本質的にPolkadotエコシステムを強化・支援するためのものであり、エコシステムのインフラを推進する役割を担っています。今は皆が「JAMとは何か？何ができるのか？Polkadotメインネットとどう連携するのか？どう実現するのか？」と模索し、適応している段階です。

開発者としてJAMの技術的詳細は理解していますが、多くの人にとっては「JAMがどんな変化をもたらすのかまだよく分からない」という段階だと思います。皆がJAMによって駆動される未来の世界を描こうとしています。

Kristen：とても興味深いですね。GavinはJAMが12〜20ヶ月以内に正式リリースされると述べていましたが、Polonaプロジェクトもこのスケジュールに依存していますか？開発進捗はJAMのタイムラインと同期していますか？

Boy Maas：はい、Kristen、その通りです。私たちはテストネットのローンチ時にすべてを準備するつもりはありませんでしたが、現在発表されているスケジュールを見ると、私たちの計画は完璧に合致しています。JAMテストネットがローンチされたらすぐに利用を開始できますし、ネットワークが正式稼働したらすぐに追従します。

JAMのM1とは？

Kristen：素晴らしい進捗ですね。次はJunhaさんに質問します。

JAMは最近、技術的な大きなアップデートを発表し、第一段階のマイルストーン（milestone 1）の納品目標を明確にしました。しかし、リスナーの中にはmilestone 1が具体的に何をするのか、どこまで進んでいるのか分からない方もいます。milestone 1の内容やテストネットの進捗、ローンチ予定時期について教えていただけますか？

Junha：もちろんです。ご指摘の通り、JAMの「グレーペーパー（gray paper）」は最近0.7.0バージョンにアップデートされました。Gavinも講演で、このバージョンからPolkadot Fellowshipがmilestone 1の評価を開始できると述べていました。現在、JAMノードクライアント実装を行っているほとんどのチームは、この評価に向けて準備を進めています。

milestone 1の目標は、「正しくブロックをインポートできる」ノードクライアントを納品すること、つまりJAMの最も基本的なランタイムロジックを検証することです。

具体的には、一連のブロック（有効・無効なブロックを含む）が与えられたとき、クライアントが正しいフォーマットのブロックを識別できること。有効なブロックについては、外部データを読み取り、状態遷移ロジック（ブロックチェーンランタイムのコアロジック）を実行し、最終的に新しいオンチェーン状態を生成できることです。ブロックチェーンは本質的に状態マシンなので、初期状態からブロックをインポートしてロジックを実行することで、次の状態が生成されます。

milestone 1の評価は、このノード実装がブロックをインポートした後、正しい次の状態を生成できるかどうかを見ます。

評価方法もシンプルです：テスト用のブロックを用意し、異なる実装が生成する次の状態が完全に一致するか比較します。この状態結果は「バーティカルルート（vertical root）」で要約できるので、比較も簡単です。現在、「JAM Conformance Fuzzer」というテストツールがあり、ランダムデータを含む多くのブロックを自動生成して、各実装が一貫した状態ルートを出せるかテストできます。

これは重要なバグを発見し、迅速に修正する良い機会であり、今後のより複雑な段階への基礎を築きます。

Kristen：分かりました。テストネットのローンチ予定はいつ頃ですか？

Junha：JAMテストネットのことですね？現在、一部のチームは自分たちでビルドしたバイナリを使ってクロス実装の相互運用を試みていますが、私個人としては、本当に運用可能なテストネットはmilestone 2以降に成熟すると思います。

milestone 1はノードの状態遷移ロジックの検証が主で、完全なテストネット運用には不十分です。milestone 2で各実装がネットワーク通信プロトコル（networking spec）を実装できているか評価が始まりますが、このプロトコルはまだ安定しておらず、グレーペーパーにも未記載です。ネットワークプロトコル仕様が安定し、各実装が開発を終えたら、ノード間の相互運用テストが可能になります。

その時が正式なテストネット準備に適しています。もちろん、一部のチームは早めに試すかもしれませんが、私はmilestone 2以降にテストネットに参加する予定です。

Kristen：分かりました。Gavinがサミットで発表した新内容は、開発進捗に影響しますか？

Junha：彼が述べた内容の多くは長期的なビジョン向けなので、短期的には私の開発計画に大きな影響はありません。今はmilestone 1の完成に集中しており、完全に要件を満たすクライアント実装の納品には数週間から1ヶ月ほどかかる見込みです。現時点では開発戦略に実質的な変更はありません。

もちろん、1〜3年という長期スパンでは新しい方向性が影響を与えるかもしれませんが、今はmilestone 1の完成に集中します。

PoPがNPoSに取って代わると何が起きる？

Kristen：分かりました、シェアありがとうございます！次はBryanさんに「ハードコア」な質問です。トークンエコノミーについてです。開発者は経済モデルの効果についてあまり評価したがらないですが、コミュニティが最も関心を持つテーマの一つです。Gavinはサミットで、PoP（Proof of Personhood）でNPoSを置き換え、バリデーターの報酬を固定し、DOTの総供給を年次半減で制限すると述べました。開発者としてこれらの変化をどう見ますか？最大の影響は何だと思いますか？個人的に賛成ですか？懸念や提案はありますか？

Bryan：確かに、これは大きな変化です。

まず背景を簡単に振り返ります：プルーフ・オブ・ワーク（PoW）、プルーフ・オブ・ステーク（PoS）、そして今回提案された「人格証明（Proof of Personhood、PoP）」、これらの仕組みは本質的にネットワークのセキュリティを守り、ダブルスペンドやチェーン分岐などの攻撃を防ぐためのものです。

それぞれの仕組みには運用コストがあります。PoWはブロック報酬という形でコストが発生し、大量の電力と計算力が必要です。PoSはステーキング者への報酬が必要です。

今回の新しい人格証明は報酬メカニズムが大きく異なります。Polkadotがこれまで使ってきたNPoS（ノミネーテッド・プルーフ・オブ・ステーク）はPoWほど高コストではありませんが、ネットワークセキュリティを維持するために新しいトークンを発行してバリデーターやノミネーターに報酬を与える必要があり、インフレを招きます。

今回PoPを導入する目的は、ネットワークセキュリティの運用コストを下げ、経済的なインセンティブやペナルティに依存せず、新しい方法に転換することです——具体的な実現方法はまだ不明ですが、コアアイデアは「一人一票」で、これが機能すれば不正が難しくなり、ネットワークの安全性も高まり、大量のトークンを報酬として支払う必要がなくなります。

ネットワークの観点からは、運用コストを大幅に下げられるので良いことです。ただし副作用もあり、これまで多くの人がノミネーション・ステーキングでトークンを増やしていましたが、この収益モデルはほぼ消滅します。新しい方法でトークンを得ることはできますが、量は大幅に減ります。一方で、トークン保有者としてはネットワーク支出が減ればトークン価値が上がるので、全体的にはポジティブだと考えています。

また、DeFiへの好影響も期待できます。ステーキング収益が減ると、ユーザーは資金を他のDeFiプロトコル（レンディングや流動性提供など）に移す可能性があり、DeFiエコシステムが活性化します。

もちろん、具体的な影響は詳細が明らかになってからでないと分かりませんし、設計が完成しても全ての影響を正確に予測するのは難しいでしょう。個人的には、これらの変化を前向きに捉えています。

Kristen：短期的にはバリデーターにとって大きな打撃かもしれませんが、収入が大幅に減る可能性があります。初期段階で問題が起きると思いますか？

Bryan：移行方法次第だと思います。例えば、ある日突然完全に変えるのではなく、段階的に進めるべきです。トークン供給も年次半減のように、初日からインフレをゼロにするのではなく、毎年徐々に減らしながら様子を見ることで、皆が新しい変化に適応し、戦略を調整する時間ができます。

ネットワークの安全性を確保するために、バリデーターがコストをカバーし、利益も得られるようにしなければなりませんし、優秀なバリデーターを選ぶインセンティブも必要です。これらの前提は変わりませんが、高額な報酬を支払う必要はなくなります。変化はありますが、新しい経済モデルで影響を最小限に抑えたいと考えています。

zkJAMとは？

Kristen：確かに、コミュニティの意見も分かれています。最初は皆「インフレを減らせ」と叫んでいましたが、今度はデフレに向かうと不満が出ています。この方向性は良いと思いますし、深い見解をシェアしてくれてありがとうございます。

次は技術的な話題——ZKJAMです。これはGavinのPPTで見かけた言葉で、まだ概念的なもののようです。しかし「ゼロ知識証明（ZK）」はWeb3分野で非常にホットな話題で、ZKはRollupsやスケーラビリティの究極の解決策だと言われています。将来ZKとJAMが組み合わさったら、どんなシナリオが考えられるでしょうか？3名の意見を聞きたいです。まずJunhaさんから。

Junha：はい。Gavinは講演でJAMを分散型「スーパー・ベアメタル・コンピュータ」に例えました。その上で動くさまざまなサービスは、ハードウェア上で動くOS（WindowsやmacOS）のようなものです。

将来ZKがJAMに統合された場合、サービス開発者やアプリ開発者の視点では、特に「破壊的」な変化はなく、全体の開発体験やユーザー体験は基本的に変わらないはずです。

たとえJAMのセキュリティメカニズムが、現在の「監査ベースのリイグゼキューションモデル」から「ZK証明ベース」のモデルにアップグレードされたとしても、そのアップグレードが厳格に検証され、より良い効果が得られるなら、採用する価値は十分にあります。

ですので、ZKとJAMがうまく適合し、今よりも有利になるなら、アップグレードは可能であり、全体の体験も大きくは変わらないと思います。

Kristen：ありがとうございます。今の部分は技術用語が多くて混乱したリスナーもいるかもしれませんが、心配しないでください。日本語版の回顧記事も用意しますので、何度も読んで内容を消化してください。次はBryanさん、あなたの考えを聞かせてください。

Bryan：皆さんには2つの概念を区別してほしいと思います。1つはJAMがインフラとしてZKセキュリティを持つRollupを支えること、もう1つはJAM自体がZKでセキュリティを担保することです。この2つは全く異なります。

JAMのPVMを通じて、どんなZK関連のアルゴリズムやアーキテクチャ、例えば新しいZK-Rollupプロトコルも、サービスとしてJAM上にデプロイできます。これは比較的簡単に実現できます。

しかし、JAM自体がZKでセキュリティを担保するには、最先端の研究や既存アルゴリズムの最適化が大量に必要です。現時点では非常に「最先端」の段階です。今のアルゴリズムは十分に速くも安くもありませんが、将来誰かが効率を100倍にする新アルゴリズムを発明するかもしれません。そうなれば状況は一変します。

ですので、将来本当に有用なZK統合方法が現れ、JAMをより安全にできるなら、私はもちろんそれを支持します。

Kristen：分かりました。この分野で本当にブレイクスルーが起きることを願っています。Boy Maasさん、あなたはベテラン開発者としてどう思いますか？

Boy Maas：実はBryanさんとJunhaさんがほとんど言い尽くしてくれました。私がJAMを好きな理由の一つは、非常に実用主義的なシステムだからです。設計の選択肢はすべて、システムを本当に動かし、計算を実行できるようにするためのものです。Bryanさんが言ったように、今のZKでこれらすべてを実現するのはコストが高すぎて現実的ではありません。ですので、将来的には「ハイブリッドモデル」、つまり従来の監査方式とZKを並行して使う形になるかもしれません。

ただ、現時点ではZKのコストが高すぎて実用的ではありませんが、今後12ヶ月から5年の間にZK分野は大きく変化するでしょう。ZKが本当に効率的になれば、非常に魅力的な技術となり、私たちのシステムのセキュリティモデルやアーキテクチャのあり方を再定義する可能性もあります。

しかし現時点では、ハイブリッドモデルの方が現実的です。実用性を維持しつつ、本当にZKセキュリティが必要なアプリケーションだけがこの技術を使えるようにするのが良いでしょう。

JAMはグレーペーパー編集委員会を設立

Kristen：皆さん、シェアありがとうございます。次のトピックはJAMのガバナンスメカニズムです。

Gavinは引き続き「グレーペーパー」の編集長を務めますが、同時に「グレーペーパー編集委員会」を設立すると発表しました。この委員会はJAM開発に深く関与し、技術力を持つ貢献者で構成され、今後JAMプロトコルのアップデート、優先順位、重要な意思決定を共同で行います。開発者として、委員会によるプロトコルガバナンスは実現可能だと思いますか？「初志から逸脱」する可能性は？その場合どう対処すべきでしょうか？まずはBoy Maasさんから。

Boy Maas：この質問は非常に意義深いと思います。こうした高い技術的ハードルがあり、非常に専門的な分野では、委員会がグレーペーパーの更新を担当するのは非常に合理的で必要なことです。こうした意思決定を行う人々は、JAMの基礎原理を深く理解し、長期的な実践経験を持っていなければなりません。創設者のGavinがこの委員会を率いるのは非常に理にかなっているので、私はこのガバナンス方式を全面的に支持します。

Kristen：つまり、プロフェッショナルなチームによる集団意思決定は良いことだと？

Boy Maas：はい、完全に同意します。

Kristen：分かりました。Bryanさんはどう思いますか？

Bryan：実は、すべてのプロジェクトは本質的に何らかの「委員会」によってガバナンスされています。ただ規模やメンバーが違うだけです。違いはガバナンスプロセスが明確に定義されているかどうかです。

ガバナンスプロセスを明確に記述すること自体が進歩だと思います。少なくとも、アップデートがどのように決定されるか皆が知ることができ、透明性が高まり、将来的なプロセスの最適化も容易になります。ルールがなければ改善もできません。

グレーペーパーの内容は非常に複雑で、JAM実装チームの開発者は皆、異なるバージョンを何度も読み返しています。しかし正直なところ、Gavin以外に100%理解している人はいないかもしれませんし、Gavin自身もすべての細部を完全に把握していないかもしれません。今も多くの人が文書の修正（誤字修正、数式調整、ロジック最適化など）に関わっており、これ自体が協働プロセスです。

ですので、私の個人的な意見としては、この分野で長年の経験を持つ人だけがグレーペーパーの修正に関わるべきだと思います。小さな変更でも大きな連鎖反応を引き起こす可能性があるからです。これはWeb3の未来、さらにはインターネットの未来、膨大な資産の安全に関わることなので、慎重でなければなりません。透明性とオープン性が重要です。皆が提案を出せますが、自分の提案を本当に理解していることを証明する必要があります。そうでなければノイズが有効な意見を埋もれさせてしまいます。

Kristen：つまり、この委員会には誰が参加できるか、どう組織するかなどの仕組みが必要だと？意見が分かれたり、初志から逸脱するリスクもありますよね。

Bryan：だからこそスマートコントラクトや明確なプロセスが必要です。すべてを文書化し、誰でも監督できるようにし、全過程を公開・透明にすることで、逸脱の可能性は小さくなります。密室でブラックボックス的に進めれば、皆が進捗を知らず、むしろ逸脱しやすくなります。透明性は非常に重要です。特にプロセスがスマートコントラクトで強制執行できれば、この仕組みは長期的に存続できるでしょう。

Kristen：分かりました。ビットコインコミュニティにも同様の開発者委員会がありますよね。

Bryan：はい、ビットコインコミュニティにはコア開発者グループがありますが、最終的な意思決定はフォーク（fork）によって決まります。どのチェーンが最も多くのハッシュパワーを得るかで勝敗が決まります。

Kristen：分かりました。説明ありがとうございます。最後にJunhaさんの意見も聞かせてください。

Junha：編集委員会の設立は非常に自然で意義深いステップだと思います。JAMプロジェクト自体が非常に特別で、完全なソフトウェアが開発される前に、完全な技術仕様文書（グレーペーパー）を先に公開しました。この文書には大量の数式が含まれており、システムの入出力動作を定義しています。文書作成を開発より先に行うのは、より高い分散性と強いシステムレジリエンスを追求するためです。

そのため、グレーペーパーは公開以来何度も改訂されており、今後1.0バージョンがリリースされた後も改訂が続くでしょう。

より多くのチームがJAMプロトコルを実装し、テストネットを構築するにつれて、さらに最適化できる部分が見つかり、プロトコルの実行効率や実現可能性が向上するでしょう。JAMプロジェクトの性質上、メインネットローンチ後数ヶ月以内にもグレーペーパーは進化し続け、場合によってはハードフォークも起こり得ます。

このような状況では、複数人でプロトコル仕様の開発を担当する方が、著者一人に頼るより明らかに良いです。

Bryanさんが言ったように、透明性も非常に重要です。委員会の意思決定プロセスは必ず公開されるべきです。同時に、JAMプロトコルを利用するチームが積極的に文書のレビューや校正、フィードバックに参加し、「Gavinが言うことが正しい」と盲信するのではなく、より主体的な参加を通じて改善点を見つけてほしいです。これは良いスタートであり、期待できます。JAMプロジェクトの特性と合わせて、こうした仕様の継続的なアップグレードは自然で合理的です。

私たちはJAMがブロックチェーンにもたらすものを過小評価しているかもしれない

Kristen：良いスタートですね。プロセスが透明なら本当に素晴らしいです。皆さんのシェアに感謝します。これで本日用意したすべてのトピックは終了です。

最後に何か補足したいことはありますか？JAMやWeb3サミットについて、言い残したことは？まずBryanさんからお願いします。

Bryan：特に補足はありません。JAM自体は基盤インフラであり、重要ですが全てではありません。本当に重要なのはJAM上に構築されるサービスやアプリケーションです——ユーザーはJAM自体を直接使うのではなく、JAMを基盤にしたさまざまなサービスを利用します。

ですので、JAMのローンチは最終目標の第一歩に過ぎません。今後はJAM上で動くサービスやアプリケーションにもっと注目すべきです。これがユーザーに本当の影響を与えるものです。今後やるべきことはたくさんあり、JAMコアプロトコルだけに注目するのではなく、その上に構築されるすべてのものにも注目する必要があります。

Kristen：ありがとうございます。Boy Maasさん、PolonaやJAMについて補足はありますか？

Boy Maas：もちろんです。まずJAMについて言いたいです。以前リスボンでGavinがJAMについて発表したとき、私は「このプラットフォームがブロックチェーンコミュニティにもたらすものを私たちは過小評価しているかもしれない」と強く感じました。

JAMが提供する「帯域幅」と柔軟性は、これまでのどのブロックチェーンも実現できなかったものです。これはブロックチェーンの発展史上、重要なマイルストーンだと思います。特にJAMが支えられる新しいアプリケーションの面で、本当にユニークです。

さらに、私たちのPolonaプロジェクトも非常に速く進んでおり、すでにJAM上で概念実証（PoC）バージョンを動かしています。SolanaのSVMをPVMに移植し、SolanaのバイトコードをJAM上で直接動かせるようになりました。クロスコントラクトコールも実現しており、すべてが動作しています。本当にクールです。これもJAMサービスの強力さを示しています。

Kristen：素晴らしいですね。最後にJunhaさんも補足をお願いします。

Junha：もっと多くの人がJAM、Polkadot、Gray Paperに注目してほしいです。もっと多くの人とつながり、アイデアを共有したいと思っています。

今はJAMのクライアントがまだ開発中なので、「完成した」アプリケーションの例はあまり見られません。Gavinのチームがいくつかデモを見せてくれましたが、まだ実例が豊富ではなく、「このシステムが本当に何ができるのか」を納得させるには至っていません。

でも、Web3の理念に興味があり、この業界の境界を本当に押し広げたいなら、JAMは本当に深く研究する価値のあるプロジェクトです。私はこのプロジェクトを一人で独立して進めてきたので、もっと志を同じくする仲間と知り合いたいです。Gray Paperを一緒に読んだり、議論したりするだけでもいいです。ぜひ一緒にアイデアを交換し、ノード納品後には新しいものを一緒に作りたいです。

Kristen：シェアありがとうございます。そして本日素晴らしい意見と見解をお寄せいただいたゲストの皆さんに心から感謝します！リスナーの皆さんもご参加ありがとうございました。ぜひゲストのTwitterをフォローしてください。アカウントはPolkaWorldのアナウンスで確認できます。一般ユーザーでも開発者でも、JAMの最新動向を知ることは非常に価値があります。ご視聴ありがとうございました。また次回お会いしましょう！さようなら！