コインチェック主催IEOで注目のファンプラ（FPL）、申込み総額90.6億円も上場初日に急落

音楽業界初のIEO（Initial Exchange Offering）として注目を集めた暗号資産「ファンプラ（Fanpla、通貨コード：FPL）」が、11月11日にコインチェック取引所へ上場しました。アーティストとファンをつなぐ新しい経済圏の創出を掲げた本プロジェクトですが、初値から急落する展開となり、SNS上では落胆の声が広がっています。

IEOの結果と初値動向

FPLは、10月21日から11月4日まで実施された コインチェック主催のIEO において、公募価格1円、発行枚数10億枚で販売されました。申込総額はおよそ90.6億円、倍率は9.06倍と高い人気を集め、音楽業界におけるWeb3活用の成功事例として期待されていました。

しかし、上場初日の取引開始直後、初値は1.5円を付けたものの、その後は急速に値を下げ、一時0.5円を割り込む場面もありました。午後には0.4〜0.5円台で推移し、公募価格を約60％下回る水準で初日の取引を終えています。
短時間での急落は投資家の予想を超えるもので、「初値で買った途端に半値」「IEOなのに公募割れ」といった声がSNS上にあふれました。

プロジェクト概要と特徴

ファンプラは、株式会社Fanplaが手がけるWeb3プロジェクトで、国内最大級のファンクラブ運営企業Fanplusとの提携によって展開されています。Fanplusは、THE YELLOW MONKEY、UVERworld、すとぷりなどを含む700以上の公式ファンクラブを運営し、有料会員数は400万人を超えています。
この既存のファン基盤を活かし、FPLトークンを使ってアーティスト支援、投票、デジタルアイテム購入などを行える新しい「ファン経済圏」を作り出す構想です。

トークンはPolygonブロックチェーン上で発行され、マーケットプレイス「Fanpla Market」では、ライブチケットや限定NFTなどをFPLで取引できます。また、アーティストごとにファンが投票で支援金の使い道を決める「アーティスト・トレジャリー」や、保有者が特典を得られるステーキング機能も用意されています。
従来のファンクラブ運営にブロックチェーンを融合させることで、応援の形を可視化し、アーティストへ直接的に還元できる仕組みを目指しています。

トークンの仕組み・ユースケース・技術的特徴

FPLトークンは、Fanplaエコシステム内で利用されるユーティリティトークンです。音楽ファンがアーティスト支援やデジタルコンテンツ取引に使えるよう設計されており、具体的には以下のようなユースケースがあります。

• マーケットプレイスでの決済：
  ライブのプレミアムチケット、NFT形式のデジタルグッズ、アーティストの限定グッズやメタバース用アバターアイテム等をFPLで購入・売買できます。二次流通（転売）にも対応し、一部手数料はアーティストの資金プールに蓄積される仕組みです。

• ファン投票・ギフティング：
  FPLを用いてアーティスト支援の投票企画に参加し、投票結果で支援金の使い道を決定できます。またギフティング（投げ銭）用アイテムを購入して応援の気持ちを可視化することも可能です。

• ステーキング報酬：
  FPLを一定期間預けることで特典や報酬が得られるステーキング機能があります。例えば「アーティスト・ステーキング」ではお気に入りアーティストへのサポートとリターン獲得を両立させる仕組みになっています。

• 透明な投票システム：ブロックチェーン上の信頼性を活かした音楽アワード投票も計画されています。ファンの熱量で最も支持の高いアーティストを選出する投票をブロックチェーン経由で実施し、その結果を音楽イベント等に反映する取り組みです。

技術的な特徴として、FPLトークンはPolygonブロックチェーン上で発行されています。
最大発行枚数は100億枚で、このうちIEOでは10%にあたる10億枚が販売されました。

トランザクション手数料（ガス代）の問題やウォレット管理のハードルを下げる工夫もなされています。例えば、Fanpla MarketではFireblocks社と連携した日本初の組み込み型ウォレット技術を導入しており、既存のファンクラブ会員IDでログインするだけで自動的にウォレットが作成され、秘密鍵管理やガス代支払いを意識せずに利用できる仕組みになっています。

これにより一般ユーザーでもWeb3の複雑さを感じることなく、従来のファンクラブサービスと同じ感覚で暗号資産やNFTを扱える環境を実現しています。また、2026年にはCoincheckと連携したオンランプ（法定通貨から暗号資産への直接購入）機能の導入も予定されており、ユーザー体験の向上が図られています

SNS上の反応

上場直後のFPL急落を受け、SNSでは「爆損」「半値即来」といった言葉がトレンド入りするほどの反響を呼びました。
当選者の中には「せっかくの初当選が半値スタートでは辛い」「IEOでここまで下がるとは」といった失望の声が相次ぎました。
一方で、「短期的な値動きに一喜一憂せず、プロジェクトの実需に期待したい」「ファン向けユースケースが拡大すれば評価は上がる」といった冷静な意見も見られました。

脳死で参加すれば勝てると話題のコインチェックIEOの新たな刺客ファンプラが早々にIEO価格1円を割って参加者は阿鼻叫喚と話題 pic.twitter.com/QDaarc5nLA

— 毛根女子.edge🦭 (@moukon_genius) November 11, 2025

【事故速報】
11/11コインチェックで取引開始した、
仮想通貨Fanplaファンプラが失速…
えっ、待って、大損😭
応募9倍だから、
初値10倍になるって噂は？
ゆうきの資産がマイナス
-9800%超えてる… #Fanpla #ファンプラ pic.twitter.com/pDWUZ6RpLj

— ゆうきくん@素人投資家 (@1Bb1sF5cwF6864) November 11, 2025

また、過去の国内IEO案件でも上場初日に急落する例が続いており、「国内IEO全般への信頼感が揺らいでいる」との指摘もあります。市場全体の低調さに加え、IEO参加者の多くが短期利益を狙っていたことも売り圧力を強めた要因とみられています。

今後の展望

現在、運営側からは価格変動に関するコメントは出ていませんが、公式発表では「FPLは投機ではなく、実需に基づくトークンとして機能することを目指す」と強調しています。
すでにFanpla Marketがオープンしており、人気アーティストの限定デジタルアイテム販売が始まっています。2025年末から2026年にかけては、ステーキングサービスやファン投票型アワードなどの機能が順次実装予定です。

長期的には海外展開も視野に入れ、音楽とブロックチェーンを融合した新たなビジネスモデルの確立を目指しています。
短期的な価格の乱高下は課題ですが、400万人を超えるファン層という実需の土台を持つ点は大きな強みといえます。今後は、どれだけトークンがファンの日常に根付くかが、プロジェクトの真価を左右することになりそうです。