Tetherがクラウド侵害リスクを抑制するため、ピアツーピア型パスワードマネージャー「PearPass」をローンチ

Tetherは、ユーザーのデバイス上に直接認証情報を保存する新しいパスワードマネージャー「PearPass」を発表しました。同社によれば、これにより従来のパスワードマネージャーが10年以上にわたり悩まされてきたクラウドベースのストレージやサーバーの脆弱性が排除されるとしています。

このセキュリティツールは、2025年6月に初めて予告されており、水曜日の発表によると、デバイスレベルの暗号化とピアツーピア同期を中心に構築されており、中央集権的なインフラは存在しません。

Tetherは、パスワードは暗号化されたP2Pチャネルを介して自分のデバイス間で共有される場合を除き、ユーザーのハードウェアから離れることはないと述べています。

増加する侵害懸念への対応

Tetherは、PearPassを一連の著名なクラウド侵害や中央集権型パスワード管理プラットフォームへの監視強化への対応策として提示しました。Forbesによると、今年初めにはApple、Facebook、Google、政府サービス、その他のソーシャルメディアプラットフォームのパスワード160億件以上が流出し、史上最大規模のデータ侵害と考えられています。

「すべての大規模な侵害は同じことを証明しています。あなたの秘密がクラウドにある限り、それは本当にあなたのものではありません」とTetherのCEO Paolo Ardoinoは述べました。同社は、新製品によってサーバーホスト型の金庫が生み出す「単一障害点」を排除し、ユーザーにパスワード、リカバリーキー、同期フローの完全な管理権を与えるとしています。

「サーバーも仲介者もバックドアもありません」とArdoinoは付け加えました。

クラウドサービスの代わりに、このアプリはエンドツーエンド暗号化とオープンソースの暗号ライブラリを使用しており、12月17日の発表によればSecfault Securityによる独立したセキュリティ監査も完了しています。

Tetherは、PearPassはクラウド依存がないため、障害時や高リスク環境下でも機能すると主張しています。

Tetherの分散型コンシューマーテックへの取り組み

PearPassは、Tetherの新たな分散型・ユーザー制御型ソフトウェアツール開発イニシアチブ「Pearsエコシステム」における最初の完全オープンソースアプリケーションです。

ステーブルコイン発行者である同社は、このローンチが「将来の中央集権化圧力に耐えうる技術」の構築を目指す長期戦略の一環であり、PearPassをより敵対的なデジタル環境で認証システムがどのように進化しうるかのモデルとして位置づけています。

このアプリにはローカルのみのストレージ、パスワード生成機能、ピアツーピア同期、キーによるリカバリーが含まれています。主要なプラットフォームで無料で利用可能となります。

今回のパスワードマネージャーのリリースは、TetherがUSDT発行をはるかに超えて事業を拡大し続けている中で行われました。

先週、BloombergはTetherが新規投資家向けに株式トークン化を含む流動性コリドーを模索しており、200億ドルの資金調達と5000億ドルの評価額を目指していると報じました。また、Tetherは最近、リアルタイムのグローバル決済を目指すLightningベースの決済プロセッサーSpeedへの800万ドルの投資ラウンドを主導しました。