FusakaとzkEVMのアップデートでEthereumがより高速かつ効率的に

• Fusakaアップデートはコスト削減と効率向上を目指す
• zkEVM Pico Prismはほぼリアルタイムでブロックを証明
• ネットワークはコアレイヤーで10,000 TPSに到達可能

Ethereumは、12月に予定されているFusakaアップグレードと、Brevisが開発したzkEVM「Pico Prism」の導入という2つの並行した進歩によって、新たなパフォーマンスレベルに到達しようとしています。Pico Prismはほぼリアルタイムで暗号証明を生成できる技術です。これらのイノベーションにより、世界で最も広く利用されているブロックチェーンは、より高速でアクセスしやすく、効率的なエコシステムに近づいています。

Fusakaはネットワークの次のハードフォークとなり、12のEthereum Improvement Proposals（EIPs）が実装されます。その中でもEIP-7594（PeerDAS）が注目されており、バリデータが全データをダウンロードすることなく、サンプリングによってデータの可用性を確認できるようになります。この変更により、ロールアップデータの公開が最適化され、ノードへの負荷が軽減され、分散性を損なうことなくスケーラビリティが向上します。

このアップデートでは、ガスリミットも4,500万から6,000万に引き上げられ、ブロック処理能力が33%増加します。これはLayer 2（L2）ブロックチェーンにとって直接的なメリットであり、より多くの圧縮されたトランザクションデータを公開できるようになります。開発者によると、これにより運用コストが削減され、小規模なオペレーターでもバリデータの運用がより容易になります。

一方、証明レイヤーでは、Pico Prismが技術的なマイルストーンとして登場しています。zkEVMは99.9%のリアルタイム検証性を達成し、12秒未満で完全なブロック証明を生成します。Ethereum FoundationのリサーチャーであるJustin Drakeは、このイノベーションについて「平均証明遅延を6.9秒に短縮し、検証がブロック生成のペースに追いつくことを可能にする」と述べています。また、長期的な目標として、16基のGPUクラスタ（最大10kW、Tesla家庭用充電器に匹敵する電力）でローカルに証明を生成し、1秒未満で決済を実現することを挙げています。

Ethereum L1のリアルタイム証明への進展は、まさに驚異的です。

5月には、SP1 Hypercubeが160台のRTX 4090を使用して、L1ブロックの94%を12秒未満で提供しました。5か月後、Pico Prismはわずか64台のRTX 5090で同じブロックの99.9%を12秒未満で証明しています。… https://t.co/cC6kpAvz01

— Justin Drake (@drakefjustin) 2025年10月15日

Drakeは、これらの改善により、メインレイヤー（L1）でのトランザクションレートが10,000 TPSに到達し、Layer 2ネットワークは1,000万TPSまでスケールできると予測しており、Ethereumが業界で最速かつ最も堅牢なDeFiエコシステムとしての地位を固めると述べています。

進展がある一方で、一部の開発者はネットワークの技術的負債の増加を警告しています。Fede's Internとして知られるFederico Carroneは、DeFiスマートコントラクトの86%の基盤となっているSolidityのような重要なツールのアップデート速度が低下していることを指摘しています。彼は「ガスリミットの引き上げは、まだパフォーマンスが改善されていない実行クライアントに負荷をかける可能性がある」と強調し、Ethereumの課題は単なるスケーリングではなく、持続可能な形でのスケーリングであると述べています。