「大統領の息子」から「若き億万長者」へ：バロン・トランプの最初の財産

作者：邓通，Jinse Finance

原文タイトル：18歳で資産1.5億ドル、00後“選ばれし者”バロン・トランプの最初の財

2006年生まれのバロンはまだ19歳だが、すでに資産は1.5億ドルに達している。バロンは高級不動産会社の設立、トランプ家の暗号プロジェクトWLFIへの参加、TikTokの上級職への立候補などに関わってきた……

10月11日、暗号市場が急落した際、多くの人がバロンが暗号市場をショートしたと推測したが、実際のショートはGarrett Jinだった。

バロンは1.9億ドルの利益を得ていないため、このアメリカのファーストファミリー出身のZ世代は1.5億ドルの資産を持つことになる。本記事ではバロンがどのようにして最初の財を得たのかを探る。

一、バロンという人物

バロン・ウィリアム・トランプ（Barron William Trump、2006年3月20日生まれ）は、アメリカ大統領トランプの最年少の子供であり、トランプと三番目の妻メラニア・トランプの唯一の子供である。

2015年6月、バロンはトランプの大統領選出馬発表会に出席した。選挙以来、メラニアはバロンを「非常に守って」きた。2021年8月からフロリダ州ウェストパームビーチのオックスフォード・ケンブリッジ・アカデミーに通い、シークレットサービスの保護を受けている。2024年5月にウェストパームビーチのオックスフォード・ケンブリッジ・アカデミーを卒業した。

大統領選では、バロンはトランプが若い有権者を獲得するのに重要な役割を果たした。彼は2024年大統領選後の勝利演説やトランプの2度目の就任式にも出席した。

2024年7月、バロンは他者と共に不動産会社Trump, Fulcher & Roxburgh Capital Inc.を設立した。この会社はトランプの当選後すぐに解散した。

2024年9月、バロンはトランプ家のプロジェクトWorld Liberty Financialの共同創設者となった。

2025年10月、バロンはTikTokの上級職に立候補した。

二、父の足跡を追って——18歳で不動産会社設立

2024年7月、バロンは不動産会社を設立し、2024年11月14日（ドナルド・トランプが大統領選に勝利した数日後）に解散した。

これはトランプが若い頃に不動産分野でビジネス経験を積んだことと重なる。1971年、トランプは父親の住宅不動産会社を引き継いだ。そこから、アメリカ国内外に広がるビジネス帝国が誕生し、住宅、高級ホテル、カジノ、ゴルフ場を網羅した。トランプの名前は広く知られるようになり、政治的台頭の基盤となった。

この不動産会社のもう一人のパートナーは、バロンが通うパームビーチ・オックスフォード・ケンブリッジ・アカデミーの同級生カメロン・ロックスバーグだった。カメロンは会社がわずか4か月で解散した理由について、大統領選期間中にメディアの注目を避けるためだったと述べている。カメロンによれば、この会社は高級不動産開発会社で、ユタ州、アリゾナ州、アイダホ州で不動産やゴルフ場を所有する計画だった。トランプは息子に非公式にアドバイスをし、このアイデアに賛同したが、資金提供はしていない。彼らはこの会社をトランプ・グループに統合し、子会社にする計画だった。

しかし、バロンのビジネスデビューは成功しなかったようだ。アメリカでは、一般的な不動産開発プロジェクトは企画から利益が出るまで通常12～24か月かかるため、この短期間で解散した会社はプロジェクトの実行やキャッシュフロー段階に入ることができなかった。現在、バロンが不動産会社で利益を得たという公開データもない。

三、家族プロジェクトへの進出——WLFI共同創設者に

2024年9月、バロンはトランプ家のプロジェクトWorld Liberty Financialの共同創設者となった。まさにこのWLFIプロジェクトが、トランプ家に莫大な利益をもたらすと同時に、バロンが短期間で多額の財を築き、人生最初の財を手にする助けとなった。

トランプ家がWorld Libertyの株式を保有する会社DT Marks Defi LLCは、2024年9月に合計225億枚の$WLFIトークンを獲得した。このプロジェクトのプロモーションおよびトランプの名前の使用許可の交換条件として、この会社はWorld Libertyの最初の1,500万ドルの収益の75%も獲得した。トランプが大統領在任中に提出した財務開示によると、今年初め時点でTrump Marks Defi LLCの70%の株式をトランプが保有している。残り30%は家族が保有している。息子のエリック、ドナルド・ジュニア、バロンはいずれも共同創設者として記載されており、彼らがこの30%を均等に分けると仮定すると、それぞれ10%の株式を持つことになる。

当初、この10%の株式はそれほど多くなかった。World Libertyトークンは購入後に転売や譲渡ができず、トークンの販売額も一般的だった。しかしトランプが大統領選に勝利すると、WLFIの販売状況はすぐに好転した。会社および顧客が公表したデータによると、8月時点でWorld Libertyは約6.75億ドル相当のトークンを販売している。バロンの税引後収入は約3,800万ドルとなった。

今年3月、World Libertyは新たな製品USD1ステーブルコインを発表した。USD1の時価総額は約26億ドルで、トランプ家は同社の38%のシェアを保有しているようだ。バロンは約3,400万ドルを得た可能性がある。

8月、World LibertyはAlt5 Sigmaという上場医療企業と合意に達した。この会社は暗号資産運用会社への転換を目指している。取引の一環として、Alt5は7.5億ドル相当の$WLFIトークンと引き換えに、Alt5 Sigmaの株式100万株、9900万件のワラント、さらに高価格で行使可能な2,000万件のワラントを取得した。Alt5は調達した多額の資金で7.17億ドル相当のWorld Liberty Financialトークンを購入し、そのうち5億ドル超がトランプの会社に、さらに約4,100万ドル（税引後）がバロンに流れた。

バロンはさらに約22.5億枚のWorld Libertyトークンを獲得し、これはトランプの会社が最初に得た225億枚の10%にあたる。バロンの10%の株式は現在約4,500万ドルの価値がある。

これらすべてを合計すると1.5億ドルをわずかに上回る。19歳の大学2年生にとっては決して小さな金額ではない。バロンには他に知られている資産はないが、このお金でニューヨーク大学スターン・スクール・オブ・ビジネスの67,430ドルの学費を2,200倍以上支払うことができる。

四、TikTok上級職への立候補

前述の通り、バロンはトランプが若い有権者を獲得するのを助けた。もしバロンがTikTokの上級職に就任すれば、TikTokの若者への魅力がさらに高まるだろう。

トランプが9月に署名した大統領令によると、「TikTok USは新設の合弁会社によって運営される。ByteDanceはTikTok US事業の利益の約50%を得る。」

トランプはある動画で「すべてのTikTokの若者たちへ、私はTikTokを救った。だから君たちは私に大きな借りがある」と語った。

トランプ2024年大統領選挙キャンペーンの元ソーシャルメディアマネージャー、ジャック・アドベント（Jack Advent）は「トランプ大統領は約束を果たし、TikTokと、そのアプリでビジネスを営み、フィルタリングされていないニュースを得ている何百万人ものアメリカ人を救った。TikTokのユーザーの大多数は若者だ。私はトランプ大統領が息子のバロンや他のアメリカの若者をTikTokの取締役会に任命し、引き続き若者が使いたいアプリであり続けることを願っている」と述べた。

不動産から暗号資産、そしてTikTokまで、ビジネスの才能を持つ父親の遺伝子と家族のネットワークによる無限のチャンスを持つ“選ばれし者”バロンのビジネスキャリアは、もしかすると今始まったばかりかもしれない……

五、付録：トランプの他の4人の子供の資産

1982年、トランプは父親と共に初のForbes 400リストに載り、2人の資産は合計2億ドル（現在の6.6億ドルに相当）に達した。彼の最初の名言は「人間はすべての動物の中で最も獰猛であり、人生は勝利か敗北で終わる一連の戦いだ」だった。数十年後、トランプがホワイトハウスに入り、家族はこれらの“キラー本能”を新しい形でマネタイズしている。

ジャレッド・クシュナーとイヴァンカ・トランプ

純資産：10億ドル；1億ドル

2021年1月、クシュナーはプライベートエクイティ会社Affinity Partnersを設立した。クシュナーは大統領顧問時代に築いた人脈を活用し、カタール、サウジアラビア、アラブ首長国連邦の支援者から46億ドルを調達し、22社に20億ドル以上を投資した。この会社の評価額は約2.15億ドル。Affinityの資金援助と、家族の不動産会社Kushner Companiesの20%の株式（5.6億ドル相当）により、クシュナーは今や億万長者となった。この夫婦が所有するマイアミの高級住宅地インディアン・クリーク・アイランドの不動産も資産増加に寄与しており、ジェフ・ベゾスもこの島に住んでいる。2020年にこの物件を購入して以来、その価値は2倍以上に上昇し、約1.05億ドルとなった。

エリック・トランプ

純資産：7.5億ドル

次男のエリック・トランプの昨年の資産は推定4,000万ドルで、暗号資産分野で兄弟姉妹より多くの利益を得ている。その大部分はAmerican Bitcoinからで、これは彼が3月に他者と共同設立した暗号資産マイニング会社で、9月初旬に上場し、一時は億万長者となった。エリックが保有する7.5%の株式は約5億ドルの価値がある。彼はまた、World Liberty Financialトークン販売の約10%の分配も受けている。今年5月、彼は兄のドナルド・ジュニアと中東を訪れ、カタールのゴルフリゾートで家族ブランドの使用を許可する契約やその他の新規事業を締結した。2024年7月時点で、兄弟は一部のライセンス契約から20%の利益を得ているようだ。

ドナルド・ジュニア・トランプ

純資産：5億ドル

ドナルド・ジュニアはAmerican Bitcoinの少量の株式を保有し、World Libertyの共同創設者も務めている。彼とエリックは8月に特別目的買収会社（SPA）を設立し、テクノロジー、ヘルスケア、物流分野でのM&Aターゲットを探している。また、反覚醒経済の重要な参加者であり、「反ESG」を自称するベンチャーキャピタル1789 Capitalと協力し、反覚醒・反中絶のオンラインプラットフォームPublic Square、オンライン銃器小売業者GrabAGun、Truth Socialの親会社の取締役も務めている。彼の資産は昨年の推定5,000万ドルから増加した。

マイケル・ブロスとティファニー・トランプ

純資産：2,000万ドル；1～2,000万ドル

マイケルの父親はMassad Boulosで、SCOA Nigeria、Boulos Enterprisesなどの会社と関係がある。ティファニーの資産は公開情報が比較的少なく、兄姉のように長期的に家族事業に関与しているわけではない。